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84.にしおりをはさみました!
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84.
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食べ終わった食器を各々シンクに下げて、凪はゆっくりとソファに戻る。
彼用のブランケットとクッションを置いているそこが、この家での凪の定位置になっていた。
話し声はいい刺激になるというので、テレビを点けっぱなしにしていて、
よく画面を見てはいるが、アニメが始まっても天気予報になってもスポーツ番組になっても、自分でチャンネルを変えることはないので、楽しんで観ているかはわからない。
「凪ー、明日はどうしても打ち合わせに会社行かないといけないから
その間は久米さんが来てくれるからいい子にしてろよ」
明日必要な書類をパソコンでまとめて整理しながら話しかけるが、決まって彼からの返事はない。
食後のコーヒーを飲みながらダイニングテーブルについているので、
ここからは凪の頭しか見えない。
「おーい凪、聞いてるか」
ふと気になって立ち上がり、ソファのところまで行って凪の顔を覗き込む。
「明日打ち合わせで、久米…、凪?」
テレビのほうを向いたまま、凪が身を守る様に蹲って震えている……。
その体は小刻みに震えているが、大きく見開いた目からは涙が伝い、歯がガタガタと鳴っている。
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