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「凪!どうした!」
思わず両肩を掴んで声をかけると、ひッ、と小さな悲鳴を漏らして
こっちを見て、俺に対しても怯えている。
ふとテレビを見ると、ドラマの中で少女が複数人の男に襲われているシーンが映っている。
その描写は妙に現実的で、小さな部屋の中で床に押さえつけられた少女が乱暴されているところだった。
「なんでこんなものッ!!」
慌ててテレビを消して凪に向き直すと、あの日のことを思い出しているのだろうか体の震えが一層強くなり頭を抱えている。
「凪っ!大丈夫だ、あれは過去だ!今起きてることじゃない、しっかりしろ!」
腕を掴んでそう言い聞かせるが、俺の言葉が届いている様子はない。
このままだとまずいだろうか、担当医に連絡を…
少し思案していたが、万が一フラッシュバックが起きてしまったときの対処方法を事前に聞いていたのを思い出し、
携帯電話をテーブルに置いて凪に向き合った。
「…ぅぅッ、ぁ、ぁ…」
完全にパニックに陥っている凪が震える手で髪を掴みながら呻き声を上げる。
「…凪」
「はぁ…ァ、ぅぅッ」
「…凪、」
「はッ…ぁあ、ぅ、ぅぁッ」
「凪、こっちを見なさい」
「…ぅぅッ、」
「凪、大丈夫だ」
できる限り落ち着き払った声で話しかける。
こっちの声が届くまで辛抱強く。
「凪、周りを見ろ」
「ぃ、ぁッ」
「お前に酷いことをした奴らはここにはいない」
「ひッ」
「大丈夫、もう怖くない」
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