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ふたり。にしおりをはさみました!
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ふたり。
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「んーと、ビールとビール、それにビール…」
「どんだけビール買うつもりなんだよ。」
「だって夏といえば花火見ながらのビールじゃね?」
普段より人通りの多い街を歩く。
通り過ぎる人々の多くは、色とりどりな浴衣を着ている。
今日は1年に1度の花火大会。
花火大会の日を告げるドンドンっという爆発音のような音が聞こえて、浮かれ気分な人々の鼓動に響き高揚感に拍車を掛けているようだ。
「ビールもいいけどつまみは?」
「んー。…あ!赤飯!」
「赤飯?ビールに赤飯はナンセンスだろ」
「意外に合うかもじゃん?それに、今日はなんてったって俺たちの記念日なんだしさ」
「それもそうか」
8月16日は、特別な日。
今年は、俺たちの記念すべき10回目の特別な日。
「さ、早く帰ろ。人混み疲れそう」
「だな。早く2人きりになりたいし」
「…ばーか」
スーパーを出て家に着くと、玄関ですぐさま唇を奪われる。
「んっ、…ちゅ、はぁ…ったく…高校生じゃね、んっ…」
「ん………、いいだろ、今日くらい」
お互いタガが外れたように口内を貪り
激しく口づけを交わす。
「ん…ベッド、行く?」
「ベッドからじゃ花火見れないだろ…」
「花火見ながらヤるってエッロいな」
「俺たちらしいでしょ?」
リビングのソファーに優しく降ろされ、また口付けると、服を脱ぎ捨てお互い抱き合う。
「あれ、慣らしてた?」
「……聞くなって」
「ふふ。お前もその気だったんじゃん」
「もういいから、早くいれろよ…」
「今日は特別だろ。じっくり抱きたい」
「…やだ、お前の前戯は長いしねちっこいから…お前の入れるころにはもう体力なくなっちゃうんだよ…」
「褒めすぎじゃね?」
「今は褒めてない。…お前ので何回もイって体力なくなりたいのに」
「ほんと、かわいいなお前」
しっとりと解れているソコに自分のものをあてがいゆっくりと挿入する。
「あ、あ…はいって、くる…っ」
「んっ…きもち……」
と、ちょうど大きな音と同時にあたりが明るさで包まれた。
「ふ、ふはは、入れた瞬間花火打ち上がるって、ヤバイ。」
「はは、本当。日本人としていけないことしてる感じするわ」
「あっ!あ、あ、!も、んなこと、言いながらっ、動くの、はげし…っ」
「この瞬間、楽しみたいじゃん」
「あ、あぁぁっ、ん…、はあっ、おく、奥ぅ…っ」
「ん、っ、く、…締め付けすぎ…」
「だって、んっはあ、ああっ、おま、えの…っぁ、ほし…いっ」
「は、ふふふっ、かわいー、んっ!」
「あああっ!」
獣のようにお互いを求め合い、本能的に快感を求める。
お互い知り尽くした身体は、全てを受け入れ快感に繋がる。
この世界中にこれほど相性の合う相手はいない。
そう確信していた。
まさに、お互いが運命なのだと本能的に感じていた。
「あ、あ、あ、むり、あ、っきもちいいいっ…っは、あぁっ」
「ん、おれも、…っ、は、はっ」
「あっ、あ、あっイく、あ、イくイくイく、うううっ」
「っ、いいよ、俺も、中、出すから…っ」
「ひああっ!っ、あ、ちょ、だい…いっぱい…あ、あ…中に、だしてえっ…!」
「ん、っあ、出る、っ」
「ああぁぁぁっ!あ…あ…っ、あ…」
「っく、!!!」
お互い強く抱きしめ合って共に果てる。
「は、きもちよかった…」
「ん、あ…あ…中あったかい……」
「10年前みたいにちゃんとたくさんだしてあげたからな」
「はぁ、もう、ばか。っ、いつのまにかエロオヤジになってる…」
「なんてったってもう30歳だからね。20歳の時の性欲には勝てないよ」
「俺当時高校生なんだけど」
「お前は何歳になっても、イくとき首振るクセ変わんないよな」
「はぁ!?え、まじ?10年目にして初知り」
「相当可愛いよ」
「恥ず……」
前もって置いておいたブランケットを2人でかぶり、花火の見える窓の前に座る。
「はい、ビールと赤飯」
「あんがと」
「んじゃ、乾杯」
花火はまだまだ続いていて、キラキラと夜空に花が咲いている。
「10年間ありがとう」
「こちらこそ」
「そろそろ時間ですかね」
「ん。今更間違いだったなんて言うなよ」
「もちろん。お前とずっと一緒っていう選択を後悔することなんてないよ」
「愛してるよ、マサ」
「俺も。愛してるよ、リョウ」
10年前、俺たちは家を出た。
当時高校生と大学生だった俺たちは金もなく行くあてもなかった。
親に産んでくれた感謝といつのまにか"普通"じゃなくなっていた謝罪を胸に、ただ遠くまで歩いた。
途中、それまでの俺たちの葛藤を許してくれるかのように、はたまた俺たちの新たな生き方を歓迎するかのように、夜空に花が咲いた。
いわゆる普通の男じゃなくて、ごめんなさい。
いわゆる普通の兄弟じゃなくて、ごめんなさい。
でも、もう自分に嘘をつくのは嫌だ。
自分を押し殺して生きていくのは嫌だから。
そんな思いを胸に抱き、2人で約束をした。
『俺たちが自由に生きられるタイムリミットは10年。10年後の今日、親、友人、学校、全てを捨てて自分勝手に生きている自分たちを懺悔し、向かうべきところに行こう』
夜空に大きな花が咲いている。
真っ暗な空を明るく照らし、人々に笑顔と感動を与えている。
きっとこの瞬間、新しい愛が芽生える恋人たちもいるんだろう。
どうして俺たちは男女に生まれてこなかったんだろう。
どうして俺たちは兄弟に生まれてきてしまったんだろう。
願わくば、来世は男女に生まれ変わって、また愛し合えますように。
ワンルームの一室。
生まれたままの姿で手錠に繋がれる2人の男。
床には大量の血の海が流れていた。
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