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マナーって大事にしおりをはさみました!
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マナーって大事
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ゆらゆらと波に揺られながら花と会話をしていると少しづつ日が落ちていく。
「腹減った。」
「お腹空いたね。」
体に付いた海水を公共のシャワーで落とし、着替えて旅館へと向かう。
「お帰りなさいませ。」
女将さんが部屋の襖を開けると、机の上にできたての食事が湯気を立てて待っていた。
「…何か豪華じゃない?」
「気のせいだよ。」
「花。この食事…、俺が出したお金よりもっとするでしょ。」
じろりと見ると花は目を泳がせて笑みを浮かべる。
昼のお店といい、この旅館といい、よくもやってくれる。
「…さぁ。」
「割り勘って言ったじゃん!」
「まぁまぁ、男子高校生はよく食べるんだから。」
花に背中を押され、強制的に座椅子に座らされる。
「ほら、美味しそうでしょ?」
「そうだけど!そうだけども!」
花が海鮮鍋を取り皿に盛り、ナチュラルに渡されてつい受け取ってしまう。
美味そう…!
「いただきます。」
「…いただきます。」
この辺は海が多いからか、料理の大半は海鮮物。
どれも美味しそうで、自分の取り皿にどんどん乗せた。
「虎くんいっぱい食べるね。取らないからゆっくり食べてよ。」
「お母さんか!」
ツッコミを入れながら黙々と頬張り、魚の美味しさを噛み締める。
「おいひぃ…。」
「良かった。」
花をチラリと見るとご飯を綺麗に食べていて、自分の食べ方を再度見直す。
花の真似をして食べようと思っていても中々上手くいかない。
「虎くん、どうかしたの?」
「何が?」
「箸の持ち方がいつもと違うし、お椀を持つ指の位置が全然違う。」
「怖いくらいによく見てるね…。」
「座り方があぐらから正座になってるよ。」
「怖い怖い怖い。」
花の観察力に若干引きながら、いつも通りにすると花は安心した表情を向けた。
「花の食べ方が綺麗だったから俺もそうしようと思って。」
「誰も見てないんだから気にしなくてもいいんだよ?」
「そ、そうだよね!」
バクバクと食べ始めるとその食べっぷりを見て花はまた笑った。
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