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「んんんんんんんん!!!!!!!!」
「んんっ…!」
いきなりの客人に全身で驚き、反射的に花の唇を噛んだ。
離れた唇から少し血が滲み、花は眉を寄せた。
「な、何して…!!」
「あー、いきなり噛んだら痛いよ虎くん。」
「当たり前だろぉお!!」
ドアの前に立つ人をチラリと見る。
コモモさん!?!?
「ちょっと!!無視しないでよ!!」
「…チッ…。」
「あわわわわわ…。」
花は舌打ちをしながら自分の首に俺の顔を埋めた。
あからさまに不機嫌な舌打ちをコモモさんに浴びせる。
「な、な、何してんのよ!!」
「見れば分かるだろ。」
普段は聞かない冷たく重い声に背筋がゾッとする。
「どうしようか虎くん。邪魔入っちゃった。」
「〜〜〜〜〜〜!!!!!」
驚きと恥ずかしさと危機感に声にならない声が出る。
完全に修羅場化した室内にそぐわない花の態度。
何でそんな冷静なの!?!?
「あ、相手男じゃない!!!」
「君には関係無いでしょ。」
「あるわよ!!!」
甲高い怒声が耳を刺激する。
終わった…。俺の人生終わった…。さよなら俺…。
「何で…。そんな…。だって男…。」
震え始める声に少し顔を上げる。
顔を真っ赤にしたコモモさんは悔しそうな表情だった。
「何がいいのよ…!そんなやつ…!!」
そんなやつ。
無責任に放たれた言葉に胸がズキズキと痛み始める。
さっきの羞恥心や焦りは消えて、気持ちが冷静になる。
「男がいいなんて…!」
男が…いい………?
ああ…忘れてたな、俺。
花といるのが幸せで、ずっと気にしてなかった。
『男同士は普通じゃない』
「気持ち悪い!!」
うん。
「おい!」
「ありえない!!」
うん。
「男同士なんて……異常よ!!!!」
そうだよ。
やっぱ男同士なんて…。
ありえないんだ。
気持ち悪いんだ。
普通じゃないんだ。
キュッと花のシャツを掴む。
「…。」
コモモさんの言っている事は『普通』の事だ。
いきなりこんなの見せられて、あんな反応するのはおかしくない。
普通じゃないのは俺らなんだ。
剣だって女の子と付き合ってる。
動揺したり、反対しなかったのは剣と晶子ちゃんなりの優しさなんだ。
「いい加減にしろ。」
低い。鉛のような声が轟く。
腰に巻きついた腕が強く締め付けた。
「は、花…。」
強い殺気を感じて、顔を上げた。
でも花の顔を見ることができなくて、視線を逸らしたまま震える。
「言わせておけばベラベラ喋りやがって…。黙る事もできねぇのか。」
「っ!!!」
コモモさんも殺気を感じたのか、息を詰まらせる。
ヤバい。
花が本気で怒ってる。
「人のプライベートを邪魔して、好き放題騒いで、挙句の果てには否定すんのか。自分勝手もいい所だよ本当。」
「なっ…!」
「俺の事が好きだろうが何だろうが、どんな理由でも俺の大切な人を傷つけていい権利なんか無い。」
大切な…人…。
ひび割れた傷が、花の言葉で痛く染みていく。
「で、でも…。」
「しつけぇんだよ。同じ事何回も言わせんじゃねぇ。」
「う…。」
「この人は俺の人生で最も大切で大事な人。傷つかないように、ずっと笑っていられるように、ずっとずっと守ってきた。」
「!」
その発言に反応して、彼に視線を向ける。
花はとても優しく微笑んで、俺の頭を撫でた。
「虎くんの為なら、俺は何にだってなれるよ。」
「は…な…。」
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