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* Sweet.3 *にしおりをはさみました!
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* Sweet.3 *
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周りをぐるりと見渡して、茅野の姿が見えないことにほっとしていると、不意に声をかけられる。
「ごめんねぇ。舜なら上で宿題をしているの。夕里くんが来た、って呼んでこようかしら?」
「い……いえ! そんな気を遣ってもらわなくても大丈夫です! 全然、大丈夫です!」
夕里の慌てぶりに直美は上品さを崩さないまま、ふふふ、と笑う。
「あらあら。舜と同じ高校の女の子にそう声をかけたときも、夕里くんと同じ反応をするのよ。たまたま降りてきた舜と鉢合わせたら、皆悲鳴を上げて逃げちゃうの」
直美は実の息子目当てで、女子高生の客層が増えているとは微塵も思っていないようだ。
「あの子に聞いても知らない、って私に何も言わなくてねぇ。人様にはご迷惑をかけないように育てたつもりなんだけど……夕里くん、学校での舜はどんな感じなの? 女の子に意地悪なんてしてないでしょうね」
──いやぁ……それはそれは俺達男子の嫉妬を、茅野は一手に受けていますよ。彼氏にしたい男子なら、8割……いや9割の女子が茅野の名前を挙げるくらいには人気です。
おどけた台詞も何だか口を出る前に悲しくなって、出てこない。
多分、茅野のほうも好意を抱かれていることには気付いているだろうが、思春期やら彼を取り巻く噂やらで、恥ずかしくて親には……特に母親の直美には尚更言いにくいのだろう。
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