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無いものは、傷つけようもないにしおりをはさみました!
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無いものは、傷つけようもない
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那須田を黒羽から自由にして数ヶ月。
普段は在宅勤務扱いで、ラボを訪れるのは、週に1、2度あるかないかだ。
もっと雑な扱いを受けると覚悟していた。
在宅で構わないと言われた際に、俺のコトを検体にするつもりじゃなかったのか? と、直接問うた。
俺の問い掛けに黒羽は、そんな無駄遣いはしないと、笑い飛ばした。
αである俺を飼殺しにするくらいなら、研究チームに所属してもらい成果を上げてもらった方が、よほど利がある、と。
黒羽のラボから帰ってきた俺は、那須田の姿を探し、部屋を覗いた。
物置のようになっている場所を片付けようとしたが、那須田は、ここでいいとリビング横の部屋を使い続けていた。
自室の部屋のベッドに座り、手の中の物を眺めていた。
それは、【魅惑の香水】だった。
「まだ持ってたのか」
ゆるりと部屋に足を進め言葉を紡ぐ俺に、那須田は、驚いたような顔を見せた。
そのまま、那須田の横に腰を下ろす。
那須田は、視線を香水へと戻し、手首に噴出口を向ける。
何をしようとしているかなど歴然だった。
俺は、香水の瓶ごと、那須田の手を掴んだ。
「…抱いて、いいのか?」
俺の言葉に、那須田は、困惑に瞳を游がせる。
「こんな偽物の匂いなんて、必要ない」
香水を掴んだままの手から、それを奪い取る。
香水をベッドサイドのテーブルに置き、ふんわりと那須田の身体を両腕の中に収めた。
「いつでもお前を抱きたいと思っているし、俺は、お前の姿に欲情する」
言葉と共に、那須田の手を取り、自分の股間へと導いた。
硬くなりつつあるその場所に、衣類越しに那須田の指先が触れる。
「精液を売るコトも止めた」
言葉に驚いたように、那須田の指先が、ぴくりと揺れた。
改めて那須田と暮らし始め、俺は、精液を売るコトを止めた。
黒羽のラボで働くようになった俺に、那須田は、そこで精液採取をしていると考えていたのかもしれない。
そこで性欲を発散しているのなら、自分は抱いてはもらえないとでも思ったのだろう。
「俺はお前を抱きたいと思ってる。…でも、お前の男としてのプライドを傷つけたくない」
お互いの顔は見えていない。
こんなストレートな欲望を、瞳を見ながら告げるなど、出来なかった。
「男としてのプライドなど、とっくに捨てています。黒羽に買われた時点で、私にプライドなど……」
那須田の顔は、俺の肩に埋まった。
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