アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
22にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
22
-
《凛》
家の近くの公園で、スケッチしてる手を止めた。
空が暗くなって来た。
雨が降るのかなぁ。
慌てて、帰り仕度を始めた。
ゆっくりしか歩けないから…早めに帰らなきゃ。
家に着いた途端、雨が降って来た。
良かった。
今日は、ひなの部活早仕舞い…だな。
…来てくれるかな…。
雨の音がする…。
昔から雨が好きだった。
昔は、単に雨音とか、雨の匂いが好きだったけど…。
今は、もっと好き。
ひなが、来るかも知れないから…。
ひなは…僕と違って、小さい頃からかけっこが好きで…野球だ、サッカーだ、って走り周ってた。
…僕は…そんなひなの絵をこっそり描くのが、好きだった。
今は、部活に夢中…。
部活のない時だけ、来てくれる。
ひな、ひな、ひな…。
僕の世界は、ひなばっかり…。
可笑しいね?
いつか…必ず別れがやって来ると思う一方で、こんなにもひなを待ってる。
だから…隠さなきゃ。
ほんとうの気持ち。
その日を少しでも…引き延ばす為に。
幼なじみとして、付き会うんだ。
僕は嘘つきだから、平気だよ?
だから、早く来て?
ね?ひな…。
その日は、夜になっても、…ひなは来なかった。
……兄さんの夕食…冷めてしまった…ね。
兄さん…最近おかしい。
イライラして、ため息ばっかり吐いて。
黙って、なんでもない振りしてるけど…。
……なんかこう……居た堪れない…。
……僕のせい…かな…?
うん…きっと、そう。
雨は…止んでしまった。
…兄さんは、まだ帰らない……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 454