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24
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「カナデ」
低い声に呼ばれて、そちらに顔を向ける。
レオナルトが、俺の前に来て膝を折り俺の手を取った。
「カナデ、おめでとう。複雑な心境だが、カナデが幸せになるのなら、俺はそれを見守る。だが、少しでも嫌なことがあれば、いつでも水の国へ来い。俺が守ってやるからな」
「レオン…ありがとう。でも大丈夫だよ。俺は、アルファムと絶対に幸せになるから。でも落ち着いたら水の国に遊びに行ってもいい?」
「もちろ…」
「ダメだっ!」
俺の手を握るレオナルトの手を振り払って、アルファムが俺の隣で仁王立ちをする。
うわぁ…初めて会った時に思った赤鬼みたいだ…と、俺はポカンと口を開けてアルファムを見上げた。
「…アルファム王も、おめでとうございます。ふん、あんたは相変わらず大人気がない。そんな風では、カナデが苦労するのではないか?」
「うるさい。水の国の王においては、二度もカナデを連れ去ろうとしたことを忘れたか」
「人聞きの悪い。一度目はそうだったが、二度目はカナデを助けたのだ。変な輩に連れ去られるかもしれない所を、俺が保護したのだから感謝して欲しいくらいだ」
「口先の減らぬ奴め。カナ、当分の間は忙しいから、水の国へは行けんぞ」
「なぜ、あんたの指図を受けねばならないのだ。俺はカナデに聞いているのだぞ?」
「カナは俺の后だ。大切な人だ。一人で遠くに行かせる訳ないだろうが」
スクリと立ち上がったレオナルトとアルファムが、不穏な空気をまとって睨み合っている。
俺も立ち上がって二人の間でオロオロとしていると、シアンとナジャが来て二人を宥めてくれた。
アルファムは渋い顔をして座り、先程よりもしっかりと俺の手を握る。
レオナルトも眉間に皺を寄せて、ナジャに促されて渋々と離れて行く。
それからも、入れ代わり立ち代わり色んな人が挨拶に来た。
風の国のバルテル王子も、月の国のシルヴィオ王も、山の国のベルク王も、アルファムの前で淡々とお祝いの言葉を述べていた。
相変わらずバルテル王子とシルヴィオ王は、俺のことをジロジロと見てきたけど…。
俺は目を逸らさずに、微笑み返してお礼を言うと、彼らは少し気まずそうにしながら、席に戻って行った。
ベルク王は、以前に会った時に比べたら、オーラと言うか威厳が無いように感じた。
後でアルファムに尋ねると、世界の王になるという企みが各国にバレて、それぞれの国から経済制裁を受けているらしい。
その為に、特産物の輸出も出来ず、必要な物の輸入も出来ず、国が少し困窮し始めてるのだとか。
でもベルク王も、かなり反省をしている様子なので、そろそろ経済制裁を解除するつもりだとアルファムが教えてくれた。
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