アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
36にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
36
-
「あっ!あつ…、やめっ…!」
「……ナっ、…カナっ!」
肩を強く揺さぶられて、ハッと目を開ける。
一番にアルファムの顔が目に入って、安堵する。だけど胸の鼓動はうるさくて、俺はゆっくりと数回深呼吸をした。
「どうした?悪い夢でも見たのか?汗をかいてる」
アルファムが、俺のこめかみに流れた汗を、大きな手で拭う。
俺がその手を掴もうとすると、アルファムに腕を握られた。
「なんだこれはっ?大丈夫か?痛くはないか?」
「…え?」
シャツの袖から覗く俺の腕を見て、アルファムが大きな声で言う。
俺は、袖をめくり上げて腕を見た。見た途端に俺も叫んだ。
「えっ!なにこれっ?」
もう片側の袖もめくり、俺は更に声を上げた。
「え?これって火傷?赤くなってる!なんで?…あ、痛っ!意識し出したら痛くなってきた…っ」
「ふむ…。これはもしや…。ちょっと待ってろ」
アルファムは、じっくりと俺の赤くなった両腕を眺めると、扉を開けて、通りがかった使用人にホルガーとシアンを呼び、泉の水を持ってくるように言った。
そしてまた俺の傍に戻って来て、赤くなった両腕にそっと触れる。
触れられた瞬間、俺は思わず身体を揺らした。
「かなり痛いか?」
「…触らなかったら我慢出来る。…ていうか、アル…背中も痛い気がする…」
「なんだとっ?カナ、うつ伏せになってみろ」
アルファムに言われて、俺はゆっくりとうつ伏せになる。
アルファムが、俺のシャツの裾をめくって背中を覗くなり、「くそっ!しまったっ!」と叫んだ。
「どうしたの?もしかして、背中も火傷みたいになってるの?」
「ああ。カナ、痛むだろうが、シャツを脱がすぞ!いいか?」
「わかった…」
俺は頷くと、肘を突っ張って体を起こした。
シャツのボタンを外そうとすると、アルファムが俺の手を止めてボタンを外していく。
肩からシャツを滑らせて、俺の背中を見たアルファムの顔が、みるみると青くなり、その後すぐに赤く染まった。
ずっとアルファムの傍にいる俺にはわかる。
これは、ものすごく怒っている顔だ。
俺が恐る恐る口を開こうとしたその時、扉の外から声がした。
「アルファム様。シアンとホルガーです。よろしいですか?」
「…入れ」
アルファムの低く静かな声が、怖い。
扉を開けて入って来たシアンとホルガーが、俺を見るなり声を上げた。
「カナデ様っ!それはっ、どうされたのですかっ?」
「シアン、ホルガー、やられたぞ!呪詛の魔法だ。かの城へ行ってベアトリクスを引っ捕らえろ!今すぐにだっ!」
「はっ!」
二人が深く頭を下げて、ホルガーが急いで部屋を出て行く。
シアンは、俺の近くに来て背中を見ると、「すぐに薬を用意しましょう」と綺麗な顔を歪めて言った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
239 / 427