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18歳以上ですか?
39にしおりをはさみました!
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39
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俺とアルファムは、ソファーに移動した。
しばらく無言でアルファムに寄りかかる。
ぽこんと動いたお腹を撫でながら、俺はぽつぽつとお腹の子の性別とか髪色のことを話していると、シアンが戻って来た。
「アルファム様、ローラント様を連れて参りました」
「うむ、入れ」
「はい」
シアンに続いて、ひどく憔悴し切ったローラントが入って来た。
二人はソファーの前に来ると、頭を下げる。
「よい。頭を上げろ」
ゆっくりと頭を上げて、ローラントが小さく声を出した。
「母様と…僕の処罰が決まりましたか?」
「ああ。ベアトリクスは死罪。おまえは王位継承権の剥奪だ」
「…母様の死罪は、仕方の無いことなのですね…」
「カナの気持ちを尊重して、死罪は無しにしようと思っていた。だが、これを見てみろ」
アルファムが、俺の袖をめくりローラントに見せた。
「かなり薄くなってわかりにくいが、赤くなっているのがわかるか?」
「はい…、これは?」
「カナが呪詛の魔法を受けた。両腕と背中にひどい火傷を負ったのだ。素早い処置で、ここまで治ったのだが…」
「カナデが…呪詛の魔法…を?まさか…」
「そうだ。呪詛がかけられている間、カナデは眠っていた。その時の夢に、朱色の髪の女が出て来たそうだ」
「母…さま…」
「ベアトリクスは、一度ならず二度までもカナを殺そうとした。もはや許すことは出来ぬ。おまえの嘆願も聞き入れぬ。よいな」
「はい……申し訳ございません…。ですが、呪詛の魔法を使ったとなれば、母様は…」
「そうだな。覚悟をしておいた方がいい」
アルファムは、俺の袖を元に戻すと、立ち上がってローラントの傍に行き、肩に手を置いた。
「ローラント、俺とおまえは、たった二人の兄弟だ。母親のことは辛いだろうが、乗り越えて欲しい。そしてこれからは、この城で、俺の傍で、力になってくれないか?」
「…兄上…」
アルファムを見上げるローラントの目に、涙が浮かぶ。
その様子を見て、俺の方が先に涙を溢れさせ鼻水をすすった。
俺は一人っ子で兄弟がいない。
王族の兄弟って、跡継ぎのことで揉めたり暗殺し合ったりしてどろどろとしてるのかなぁと思っていたけど、この兄弟は本当に仲が良くて羨ましいと思う。
俺の様子に気づいて、後ろを向いたアルファムが、呆れながら笑う。
「なぜおまえが泣く?おまえは泣き虫で弱いのかと思えば、驚くほどに強い時がある。俺は、未だにおまえに惹かれ続けている…」
俺は、アルファムが伸ばした手に手を乗せて立ち上がった。
そしてアルファムの手を握りしめ、反対側の手でローラントの手を握りしめた。
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