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18歳以上ですか?
18にしおりをはさみました!
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18
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着替えを済ませて、母さまとリリーの部屋に行った。
父さまは、俺達よりも先に慌ただしく部屋を出て行った。
今夜、歓迎の宴を開くから、それまでにやらないといけない仕事があるんだそう。
すごく忙しいのに、俺の練習を見てくれたんだと、また嬉しくなった。
リリーの部屋に向かいながら、母さまと話をする。
「父さま、すごく忙しいんだね。俺の相手しててよかったのかなあ」
「アルはいつも忙しいから。それにアルが、カエンの相手をしたかったみたいだからいいんだよ」
「ほんと?俺、父さまの邪魔してない?」
「してないよ。本当は、俺がもっとアルを手伝えればいいんだけど…。もっと役に立ちたいのに、俺は何も出来ない」
また母さまが、寂しい顔をする。
俺は、「カナ」と母さまの手を強く引いた。
「なあに?」
「カナは役に立ってるよ。カナは、誰にでも優しくて、使用人の話もよく聞いてあげるから、城の中でも外でも、揉めごとが起こらなくて助かるんだって」
「…誰から聞いたの?」
「父さま。シアンもホルガーもそう言ってたよ。母さまがいない炎の国なんて考えられないって」
「そう…」
母さまが、しゃがんで俺の両手を握る。
「そっか…。少しでも役に立ってるならよかった。俺はもう、炎の国の人間だから。この国で死んで、この土地に埋まりたい」
「カナっ!そんな嫌なこと言っちゃだめ!」
「カエン?」
「死ぬとか言っちゃだめだよっ。カナは神の子でしょ?ずっと俺と一緒だよっ!」
「ふふ…ありがとう。うん、ずっと一緒だね」
「そうだよ!」
母さまは、他の人と比べて身体が小さいから、ちょっとしたことで消えてしまいそうで怖い。
俺は、母さまの手を強く握りしめると、リリーの部屋へ向けて、再び歩き出した。
夕方まで、リリーとおままごとをして遊んだ。
なぜかリリーが女王様で、俺はその家来の役だった。
俺は未来の王様なんだけど…と、もやもやしたけど、さっきリリーを泣かせてしまったので、仕方なくリリーがしたいように遊んだ。
俺とリリーが遊んでいる間、母さまは、サッシャ王と話をしていた。
二人は本当に仲が良いらしく、何の話かよくわからないけど、楽しそうに話し込んでいた。
たまに「カナデが刺されて…」とか「川に落ちて…」とかの怖い話が聞こえた気がする。
今、目の前に元気な母さまがいるから、嘘みたいな話だけど、それって本当にあった話なの?母さまは、そんな怖い目にあってるの?
あとでちゃんと聞かなきゃと、女王様役のリリーの命令を聞きながら、俺は母さまを見た。
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