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18歳以上ですか?
16にしおりをはさみました!
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16
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俺とシアンが呆然と突っ立っていると、先程シアンに指示を出されて離れた兵が、慌ただしく戻って来た。
「カエン様っ、シアン様っ!ここより二つ向こうにある街が、街全体がっ、燃えていると知らせがっ!」
「なにっ?ただの火事ならすぐに消し止められるだろう!街に消火の設備が整っているのだからっ」
シアンが珍しく大きな声を出す。
炎の国は乾燥しやすい。だから特に火事には気をつけている。消火のための水路を、街のあちらこちらに巡らせてある。失火や放火は、被害が大きくなる前に消せるはずだ。
なのに、街全体が燃えているだと?何が起きた?
もしや…。牢の中の男の言うことを信じてる訳ではないが、他の世界から落ちてきたという人間が、関係しているのか?
「カエン様。俺はこれからその街に行って、状況を確認して来ます。先程のこともあります。カエン様は、どうか休んでいてください」
シアンは、俺に向かってそう言うと、兵に馬と数人の人を集めるように命令をする。
兵が返事をして走り去って行く後を、シアンが続こうと足を出した。
俺は、シアンの肩を掴んで止める。
「俺も行く。街全体が燃えたのが、人の手によるものだとしたら危険だ。俺はもう、誰にも傷ついて欲しくない。この国と民は、俺が必ず守る」
シアンは、俺を見つめて、ふ…と目を細めた。
「わかりました。共に参りましょう。この城は、リオに任せます。もう剣の稽古も出来るほどに回復してますから。ホルガーもいますし、ここにいる兵は皆強い。…しかし、あの男が最後にカエン様にしたことが気になります。本当に大丈夫ですか?」
「うん。俺も気にはなるけど、今は何ともない。あいつが力をくれたというのなら、必要な時には遠慮なく使わせてもらう」
「…そうですね。なぜカエン様に自分の力を与えようと思ったのかが疑問ですが、使える魔法が増えたことは、よいことかもしれない…」
「だろ?しかし次から次に問題が起こるなあ。早く父さま達とゆっくり過ごしたいのに…」
「申し訳ありません。もう少しだけ辛抱してください」
「まあ父さまが王の頃は、もっと大変そうだったし。俺も頑張るよ」
「お願い致します」
牢から離れる前に、シアンが、後ろに控えていた兵に「しばらくこの男を見張っているように」と指示を出していた。
もう死んではいるが、とても怪しい男で油断できない。なので、俺達が戻るまではこのままにしておいた方がいいとのことだ。
そうして俺とシアンは、飛翔馬に乗って、五人の兵と共に燃えているという街に向かった。
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