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26
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ハオランが伺うように見てくる。
「俺、こんなだけど本当なんだよ?」
「うん、信じるよ。それでどうしてこの世界に来ることになったの?」
「うん……」
ハオランの肩がピクリと震え、顔を下に向ける。
机の上で組んだ両手を、白くなるほど強く握りしめている。
「俺は三番目の皇子だから、跡継ぎとか関係なくて、気楽に暮らしてたんだ。でも、一番目の皇子が病気で死んで、時を置かずに二番目の皇子は暗殺されちゃって…。俺が跡継ぎになった」
「じゃあハオランは次期国王じゃないか。なのになんでこんな所に来てるんだ?」
「うん…」と頷いて、ハオランが上目遣いでそっと俺を見た。
「…カエンはさ、命を狙われたりしたことある?」
「あるよ。母さまのお腹にいる時だけど」
「えっ!君の母上は大丈夫だったの?」
「うん…少し体調を崩したみたいだけど大丈夫だよ。それに俺よりも母さまの方がよく命を狙われてたらしいし」
「あっ、それは側室とかに狙われたってこと?」
「側室?」
俺は首を傾けて「ああ」と頷いた。
「父さまには母さまだけだよ。側室なんていない。父さまは母さまだけを愛してたから」
「へえっ、それってすごい!仲良かったんだねぇ。そんな二人から生まれたカエンは、幸せ者だね!」
「うん……」
ハオランの笑顔を見て、俺も嬉しくなった。でも同時に母さまを思い出して、少し寂しい気持ちにもなった。
「カエンが王様ってことは、父上と母上はどうされてるの?」
「父さまは、母さまとの思い出の城にいる。母さま…カナは、もういない。少し前に死んだんだ」
「あ…そうなんだ。ごめん…」
ハオランが、しゅんと項垂れる。
昨日会った時は、何を考えてるかわからない無茶苦茶な奴だと思ったけど、今は感情豊かで思いやりのある良い奴なのかなと思う。
俺は、ハオランに話を続けるように促した。
「俺のことよりもハオランのことだ。もしかしてハオランは命を狙われたのか?」
ゆっくりと顔を上げて、ハオランが小さく頷いた。
「そう…。俺の一つ下に母親が違う弟がいるんだ。その弟の母親の親族が、俺を消して弟を次期国王にしようと画策してて…。俺は殺されかけたんだ」
「そう…」
どこの世界でもよく聞く話だ。
ハオランは、殺されかけて逃げようとした時に、何かのきっかけでこちらの世界に来たのだろう。
そして、まだ気になることがある。
ハオランの炎を出す力のことだ。その炎で街を燃やした理由を知りたい。
俺は、真っすぐにハオランを見て名前を呼んだ。
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