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* Scent.3 *
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「無粋な」
ずくん、と腹の底に響くような低く重い言葉に、立花までもまるで足枷を嵌められたように動けない。
ああ、きっとこの人は、アルファなんだ。
発情期が来ておらず、まだ第2の性に全てを縛られていない立花でさえも、上位のフェロモンを微かに感じ取ることが出来た。
「親戚にアルファがいる」とバース検査の前に、真綾が言っていた台詞を思い出す。
──でもどうして、アルファの人がオメガの僕を引き取るなんて言うのだろう。
誉れ高きアルファの血族は、劣る部分が多いオメガを特に嫌う者が多かった。
バース検査によってカテゴリーが決まった後、立花の友達は誰もいなくなってしまった。
瑛智は立花を人目から遠ざけるように、すぐに車を出してくれた。
立花を後部座席へと乗せて、瑛智もその隣へと座る。
厄介者の立花を引き取ると宣言して、途中で集まりを抜ける瑛智に、苦言を呈する者はいなかった。
座席越しに後ろを見やると、皆が一様に腰を折らんばかりに立花と瑛智に向かって頭を下げていた。
「名前は立花というのだったね」
「……はい。そうです」
「目を見て思い出したよ。生まれたばかりなのに、目がくっきりとしていて可愛らしい子だった。私と会ったのは君が赤ちゃんのときだったから、覚えていないだろうがね」
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