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* Scent.7 *にしおりをはさみました!
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* Scent.7 *
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むずむずした感情を言葉にしなくても透明な壁越しに見たら、涼風への気持ちはまる分かりなのだろう。
さらに微笑まれたから、さっきから高鳴る心臓は痛いくらいにもっと強く、皮膚の内側で脈打っている。
そしていつものように温かいコーヒーを注文する。
砂糖とミルクは入れない。涼風のオーダー通りに淹れるつもりだったが、立花はあからさまに動揺して、とびきり甘い味つけにしてしまった。
「たまにはこういうのもいいね」なんて言って、涼風は甘ったるいコーヒーを手にして構内へ戻っていった。
× × ×
いつまでも頬に差した赤みは引く気配はなくて、立花は1日中キッチンで仕事をするはめになった。
雪がちらつく日も珍しくなく、寒い季節なのに火照りがやまない。
暇なときはぱたぱたと手で仰いで風をつくっていたが、忙しくないほうが涼風のことを考えてしまい、無駄だった。
仕事の帰り道、2人で待ち合わせをして、どこか寄ってから帰ろうと約束をした。
涼風の修論が上手くいったお祝いだ。
「お待たせしました」
カフェに近い裏門のあたりを約束の場所にしてくれたのだが、仕事仲間にまたしてもいろいろと話しかけられて、引き留められてしまった。
寒い中待っててくれていた涼風に「すみません」と謝り、駆け寄る。
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