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④にしおりをはさみました!
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④
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二人きりになった途端、情欲に濡れた熱っぽい眼が俺に向けられる。
直視出来なかった俺はふいっと視線をその胸元に落とした。
「あ、の……」
それから何も動かない、言葉を発さないボスザルに段々耐え切れなくなった俺は、見るからに怯えたようにおどおどしながらも、思い切って再びその眼に視線を向けた。
途端に、まるで腫れ物にでも触れるかのように、優しくゆっくりと、ボスザルの唇が俺に額に押し当てられた。
「夜まで手は出さない」
「………」
「中途半端に出しちまったら、多分ここでお前を抱いてしまうだろうから」
「………」
それは困る。
こんなお天道様の真下でそんな破廉恥な行為なんてしてしまったらきっともう俺は外を歩けなくなってしまうだろう。
ボスザルのその自制心に俺は心の中で頭を下げた。
マジで本当にありがとうございます。
「けど、それ」
「え…」
「自然におさまるか?」
それ、と言った言葉と共に、ボスザルの視線が俺の下半身へと移行する。
瞬間顔から火が噴き出した。
「す、すみませんあの…ッ、えっと、……たぶん、はい…」
僅かに膨らみを見せる自分の下半身を今すぐにでも切断してやりたい。
なんて物騒な事を考えていれば、ふっとボスザルが息を零した。
「別に抜いてやるくらい今すぐできるけど」
「いいいいいです!!!あのッ、本当にすぐにこんなもの大人しくなるんではい、大丈夫です!」
抜いてやるくらい、とか、何て事を軽々しく口にするんだろうか。
こんな学校の屋上で、お天道様の真下で、そんな卑猥な事なんて俺には死んでも出来ません。
「そうか。なら、鎮まったら教えろ。アイツら呼び戻してやんねぇと」
「あ…」
てっきり、ボスザルはエッチな事をしようとして、だから皆を追い出したんだとばかり思っていた。
でも違った。
俺に気遣って、追い出してくれたんだ。
なんだろう、うん。
自分の腐った脳みそが憎らしい。
「ごめんなさい…」
「別に謝る必要ねぇだろ。そうさせたのは俺だしな」
「………」
無意識に口から溜め息がこぼれた。
マジで俺、この人の事何だと思ってんだろう。
いやいやでも、昨夜あんなとんでもない事を宣告されたんだ。
身構えて当然だろ。
思い出してまた顔が熱くなる。
今晩、か…。
本当に俺できるのかな。
あ、あんな恥ずかしい事、できるんだろうか。
どうやればいいとか、どうしていればいいとか、全くわからない。
わからないから余計に不安になる。
余計な事をしたり、言ったりして、幻滅されたりしないか凄く恐くなる。
こればっかりは、その時にならないと解消されないものだと思うけど。
考え込む俺に気付いたのか、地面を見詰める俺の髪に、ボスザルの指がスルリと絡まった。
「別にお前は何も考える必要ねぇから」
「………」
優しい声音に、無言のまま俯けていた顔を僅かに上向ける。
「相手、俺だって忘れんなよ?」
「え…?」
「初めて同士がヤルわけじゃねぇんだ。全部、任せてろ」
「………」
まあ、うん。
聞きようによっちゃそれは、
俺、派手に遊びまくってたからセックスにおいては自信があります!!
って取れないこともない。
うん、なんか。
モヤモヤする俺は間違ってないと思う。
「どうした」
「いえ、あの…、別に、」
多分知らずと眉間に皺が寄ってたんだと思う。
そこを指先で軽くなぞられて、俺はまた顔を下に俯けた。
「なんだよ、言え」
「いや、えっと…、その、あの…、」
言えるわけないじゃないか。
バカみたいにボスザルの過去に嫉妬してました、なんて、言えるわけない。
もじもじしてたら、ふっと視界が真っ暗になって。
「なんだよ、気になるだろ」
俺を抱き締めながら、ボスザルはちょっと弱い声でそう呟いた。
「いえ、あの、なんでもないです」
過去の事をとやかく言われたって、ボスザルが困るだけだ。
どうしようもない事を言って、困らせたくはない。
経験豊富だって知ったのは、別に今が初めてじゃないのに。
別に知らなくても安易に想像は出来たのに。
初夜を目前にしているからか、俺の脳みそは何故かそこに拘りを見せ始めた。
どこの乙女なんだろうか。
本っ当に気持ち悪いな、俺。
「お前がいいならいいけど」
「はい、大丈夫です…」
思考と下半身はやっぱリンクしてんだなー。
嫉妬心を感じ始めた瞬間、俺のそこが少しずつ大人しくなっていくのがわかった。
萎えた、って言葉が本当にこれしっくりくるな。
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