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161にしおりをはさみました!
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悠さんの病室は、ナースステーションの隣だった。
観察室と書かれた部屋だ。手術をしたばかりだから入っているんだろう。
ノックをしてから中に入ると、綺麗な金髪の男性が先客でいた。
「こんにちは。」
あまり縁のない病院。
しかも一般の病室でないことに、小夜は居心地が悪かった。
・・・悠さんのこと、良く知らないし。
余計に、仕方ないよね。
貴志さんと山田さんの後ろに隠れながら、ぺこりとお辞儀した。
「ごめんなさい、顔を見たら帰りますから。」
山田さんが穏やかに微笑んで、お見舞いの方に断ると、その男性は首を振った。
「いえ、俺もこれを片付けたら帰ります。」
梨の残骸を差して笑った。
「あら、悠はもう食べれるの?」
「まさか!んなわけ無いじゃん。律の意地悪なんだ。・・・タカ、来てくれてありがとう。」
本当に嬉しそうに笑う悠さんに、貴志さんの表情が強張った。
「ううん・・・、電話があったから。」
ここに来ることは、トオルさんに連絡済みなのだそうだ。
「彼にも説明してきたけど、俺は悠の気持ちには応えられない。」
そう言うと、悠さんはムッと口を噤んだ。
「へぇ。振られてやんの。」
茶化すのは、金髪のリツと呼ばれた男性だ。
「これ、良かったら。」
雑誌のセット。
主婦向けの、グルメ情報や時短クッキングの情報が詰まった雑誌を見て、悠さんが固まった。
「あら、嫌い?」
「・・・ううん、好きかも。何で分かった?」
ふふ。
おれたちの好きな雑誌を選んだ。
メンズファッション誌は、まず読まない。
ゴシップ誌も、興味ない。
車やバイク誌も、3人共通で興味が無かった。
好きなのは、生活の知恵だったり、近隣近郊のグルメ情報誌だったりした。
「ふふ、3人の趣味よ。」
山田さんが肩を竦めて言うと、悠さんはおれをまっすぐに見た。
「・・・ごめん、誰かな。俺、寝たことある?」
小夜は思わず仰け反った。
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