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F-0823 シュウ (11)にしおりをはさみました!
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F-0823 シュウ (11)
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「どうしたら、助けられたのか、わからなかった。俺には、無理だった。」
ドライヤーで髪を乾かしているときにそうつぶやいたのを聞き逃さなかった。顔を歪めて何かを思い出すように俯くシュウに、ドライヤーを棚に仕舞ってから近づいた。
「話してくれるの?」
「・・・どうせ、知ってるくせに。」
「知らないよ。調べたけど、ほとんどわからなかった。」
「・・・俺が話したら、ハルヤは信じてくれるわけ?」
「信じてくれると思ったから、話す気になったんじゃないの?」
手を引いて寝室に連れていく。ベッドに腰かけると、目の前にシュウは立った。手を繋いだまま少し引っ張ると顔を歪めたまま下を向いた。
「俺の上、乗る?」
「乗るわけないだろ。」
一喝して隣に腰かけたくせに、距離はとらずに子犬のように少しだけ触れていた。後ろから手を回し、肩を引き寄せると意外なことにそのままもたれかかってきた。シュウは苦しそうに息を吐く。辛かったことを話そうとしている勇気に感心した。膝の上で握る手には力が込められていることは見るだけで分かった。苦しい、辛いと言って泣けなかった。シュウは強がりだ。敵意むき出しのまま大人に抗い、信用しなくなった。大人は子供に何してもいいと思ってると、そう言っていた。かつて、同じことを思っていたことを思い出した。肩をさすり、シュウが話しだすのを待つと大きく息を吸って吐き出すように言葉を放った。
「ひまわり園は、俺たちをっ・・・おもちゃにしてた・・・っ」
悔しそうに言ったシュウを見てられなくて、強く抱きしめた。
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