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F-1009 カエデ・F-1010 モミジ(6)にしおりをはさみました!
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F-1009 カエデ・F-1010 モミジ(6)
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SIDE リクマ
重たい扉が音を立てて閉じると、しゃがれ声でモミジが泣き叫んだ。手の拘束を解くと、ベッドから転がるように降りた。
「おいっ。」
「いっ・・・やだ・・・カエデ・・・やだっ、カエデえ・・・っ。」
案の定冷たい地面の上で転び、鈍い音がした。重たい扉の取っ手に薬の効果がまだ切れていないモミジがぶら下がっている。ガチャガチャと音を鳴らすだけでその扉は開かない。うずくまって泣くことしかできないモミジに近づき抱き上げるが、抵抗する力もないのかぐったりとしていた。
「やだ・・・もうやだ・・・。」
泣き続けるモミジに毛布を被せ、そのままこの閑静な部屋を出る。ハルヤたちが向かった部屋と距離のある部屋へ運び、再びベッドに下ろすとすぐに眠りについた。携帯をポケットから取り出し、ヨウヘイを呼び出す。いつものようにワンコール以内で出たそいつに部屋の掃除を命じると短く返事をして通話を切った。
体力がないこともそうだが、カエデと離されることでショックを受け、泣き続けていたこともこうして深く眠る原因だろう。汚れているところを拭き、服を一枚着せてから右手をベッドサイドに軽く繋いだ。膝から滲んでいる血はさっき転んだ時のものだろう。軽く舌打ちをした。起きる気配はないが、一応逃げ出さないためにも部屋に鍵をかけ、コーヒーを取りに外へ出た。かわいそうに、と思ってもないことを呟いた。
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SIDE ハルヤ
頑として泣かなかったカエデは別室へ移動してからも、まだ拘束されているかのように固まったまま動かなかった。ベッドに座って少し笑ったような、諦めたような顔をして俺のほうを向く。
「一人に、して。・・・逃げないから。」
「・・・わかった。」
リビングにパソコンを持っていき、起動させる。そのタイミングでコーヒーを入れて席についた。
少しするとすすり泣くモミジの声が微かに聞こえてきた。扉が二度開閉する音が聞こえる。部屋を移動したのだろう。パソコンをスリープモードに切り替え、リクマのためのコーヒーを入れるため席を立った。
「コーヒー、飲みますよね。」
「ああ。」
無言でマグカップを受け取ったリクマは自分のパソコンをテーブルに置き、俺と同じように作業を始めた。
「どうです?モミジ。」
「どうもこうもねえよ。泣くわ、お前ら追いかけて転ぶわ。後で手当てしなきゃなんねえ。面倒癖えな。」
舌打ちをして苛立ったようにキーボードを叩く。救急箱を出して、リクマのパソコンの隣に置くと、こっちを見向きもせずに、どーも、と口にした。
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