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3.美術の先生にしおりをはさみました!
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3.美術の先生
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ーーーーー
「霜田くん」
「すみません、遅くなって」
「いいよ。それより今日はどこ行こうか?遊園地?動物園?水族館かな?」
車の運転席に座る、ハンドルを握るいつもとは少し違った雰囲気の名城先生を、ちらりとシートベルトをぎゅっと握って俺は見上げる。
「せ、…先生の、行きたいところに、」
「…」
「つ、連れてってください」
…恋なんて嫌だ。恋愛なんて、信じない。それはただの錯覚に過ぎない。
だって恋なんてものを自覚したら、きっと俺は、あなたに夢中になって溺れて、勉強に手がつかなくなってしまうからー
……
『きみ、君の絵うまいねぇ。俺、好きだなぁ』
「…え?」
『才能あるよ。これなんてさ。もっと、絵に自信つけたら更に良くなるんじゃないかな』
…俺は恋なんて知らない。
…俺はあなたのことなんて好きじゃない。だって、俺には恋なんてわからない。
でも、あなたのことを見ると、考えると、何も手につかなくなってしまうんです。先生。だから俺は、一切あなたのことは見ないようにしてた。風景を見ていれば、描いていれば、俺はあなたのことを考えて気持ちが乱れずに、荒れずにすむんです。そうしていれば、俺はずっと…、すました顔で平然と、あなたの傍に堂々といられるから。
…はい、もう言い逃れできません。本当は知っています、俺。俺はあなたがすきなんです。先生。
ついに、俺は知ってしまったんですね。自覚をしてしまったんですね、…俺は。あなたにそうさせられたんですね。つい、この間。
「……困ったな、…君が、かわいすぎてさ。」
少し困った顔をしてこちらを見て笑う、大人な先生。
そう、俺は先生の言うようにまだ17の子ども。でもね先生、子どもにだって大人に負けないところだってある。俺はそう思う。
「…!」
隣に座る先生の唇に顔を近づけてキスをする。
「…突然、大胆なことするんだね、霜田くん」
どうしよう。
一瞬、驚いて、少し照れているような先生の表情が不覚にも可愛いと思ってしまった。
…ああ、俺はこのまま、こうして、こんなふうに…、先生の色に染まっていくんですね。怖い、でも、ドキドキしてしまう。
ちゅ、とやり返すように先生が俺にキスをした。
もうこれからはきっと、ため息をつく日もなくなるだろう。あなたで365日頭の中も、体も、心も、埋め尽くされるに違いない。退屈な日々もそれなりに好きだった。でも、もうきっと戻れないですね。
だって俺はもう、あなたに出会って、恋をして(知って)しまったから。
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