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カミングアウト(1)にしおりをはさみました!
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カミングアウト(1)
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13日朝の飛行機で福岡に松永と向かった。15日の朝に東京に戻るっつー予定
松永が前の日あんま眠れんかったみたいで飛行機酔いしとって具合悪そうやったんで福岡空港で休んだ
「大丈夫か?」
「うんもう大丈夫」
まずは俺と松永の荷物を松永の死んだ婆ちゃん家の倉庫に置いて手伝いのおばさん2人と松永の母ちゃんと婆ちゃんの墓参りする予定やった。
「うちで休んでゆっくりしていけばいいやないね」
車で迎えに来た手伝いのおばさん2人に松永が言われよったけど
「今回忙しく回らないといけないから大丈夫」
って松永が青ざめた顔で答えよった
13日の夜に俺の親にカミングアウト。んで今回のお盆は俺は同窓会とか友達とかに会わんで松永と一緒に松永の縁のある場所一緒に回るっつーのが予定にあったんやけど松永にはもう一つあったんよね
松永一人で松永の兄ちゃんに会う予定作っとった
大学卒業してから全然連絡しとらんし連絡先も知らんらしいけど俺の姉貴経由で(松永の兄ちゃんと俺の姉貴が大学の先輩後輩の仲)連絡先調べとったらしくて、お盆に会う約束したらしい。
松永の父親の家に行けばお盆で帰って来ておるんやろうけどそっちに行く勇気はなかったらしい
父親たちには会いたくない言う。まだ兄ちゃんの方はなんとか会えるらしいがなんで会いたがったのかはそん時は知らんかった
「いつ兄ちゃんと会うん?」
「14日に会う予定」
「俺も行く?」
「ううん一人でいい。すぐ終わると思うから」
「そっか」
松永の母ちゃんと婆ちゃんが眠っとる墓に参って手伝いのおばさん達の家に遊びに来んしゃい誘われたけど断って婆ちゃんが残してくれた倉の様子を二人で見に行った。手伝いのおばさんが管理しとるけん綺麗にされとった。本がえらい多かったけど本以外にもよー分からん古い物とか絵もあった
「こげんいろいろあったっけ?」
「お婆ちゃん家にあった物も家取り壊す時に全部運び入れてもらったから物が増えたね」
「綺麗にされとるな」
「うん」
倉ん中はひんやりしとって松永が棚から一冊のアルバム取り出した。
「これお婆ちゃんが持ってた僕のアルバム。目は見えんかったけどお手伝いさんに写真撮らせてこうやってアルバムにしてくれとったみたい」
「おー。松永が持っとるアルバムとは違う写真なん?」
「も、あると思う」
「そっか。持って行こう」
「うん」
倉の中で二人でゆっくりしてそれから俺の実家に向かった。
俺の実家についてすぐに俺たちと親で墓参りに行く予定になっとった。姉貴は仕事でおらん
家に到着したら母ちゃんと父ちゃんがバリ笑顔で迎えてくれた
「松永君よー来たね」
「はい。今回もお世話になります」
「疲れたやろう?福岡昨日まで大雨と雷鳴りよったんよ。今日持ち直してよかったたい。今日は涼しかけん過ごしやすか」
「そうなんか。ラッキーやったな。すぐ墓行くん?」
「松永君疲れとるみたいやし少し休んでから行く?」
「そうやね。松永、部屋に荷物置いて少し横なれ」
俺の部屋に二人の荷物置いて母ちゃんが持って来た茶と桃食べて休んだ
松永の顔色がすぐれんのは寝不足と体調不良もあるんやけど今夜のカミングアウトのせいやろねーと思った
「少し頭が痛い」
「父ちゃんたちには1時間休む言ってるけん仮眠しー」
「ごめん」
人ゴミから帰った時もそうやけど松永は頭痛がする時がある。
そういう時は少し眠れば治るらしいけんそん時もクッション枕にして松永がすぐ寝た。
俺起こさんように部屋出て母ちゃんと父ちゃんのおるリビングに行った
「松永君体調悪いんね?」
「飛行機酔いしとったけんね。少し寝たら治るけん」
「そうね?無理せんでよかとよ。墓参り松永君一緒やなくて家で待っててもらってもよかよ?」
「いや、松永も連れてく」
「松永君にうちの墓参りしてもらわんでもよかやないね。迷惑やないとね?」
「いや、よくない。松永には一緒に墓参りするって言うとるし松永もそれでいいって言っとる」
松永にも俺たちの家の墓を見せときたい
カミングアウトしたら俺の家族とも家族になってもらうつもりなんで俺たちの墓見せときたいし随分先やろーけど一緒の墓に入ることになるんやけんさー俺の家の墓かもしらんし松永の婆ちゃんの方の墓かは分からんけど。どっちにも入る分骨って手もあるか。
「お待たせしてすいません。もう大丈夫です」
「気分悪くないん?」
「大丈夫。すいません」
「よかよー。顔色少しよーなったね。じゃあ行こうか」
父ちゃんが車出して4人で俺の家の墓参りに行く。
墓までの道が渋滞しとった。
「これ全部墓参りやね」
「車停めるとこあるかねー?」
「なかったら僕車の中で残って移動させますよ」
「ダメって。車停めれるとこ見つけて全員で墓行こうぜ」
運よく車停めれるとこあって俺の家の墓に向かった
山の上の墓地なんやけどバリ人多い
水汲んで全員で雑巾持って墓掃除した。
「じゃあ順番に水かけて」
って母ちゃんのかけ声で父ちゃん→母ちゃん→俺→松永の順番で墓に水かけて手合わせた
「はい、墓参り終わりー帰るよー」
「うぇええええ?」
俺たち水かけて手合わせて1分位しか経ってないんやけどもう墓に置いた茶とか餅とか母ちゃんが片付け始めた
「カラスが荒らすから持って帰るんよ!!」
「いやそうやなくてさ、早くね?もうちょいなんだ......食べる時間とか先祖もあるんやないん?」
「よかよ!!気持ちは伝わったんやけんほら帰るよ!!」
供えて1分で片付けってそれどうなんだ......?
んで車で俺の家に戻ってスーツケース開けて整理とかしよったけど14時位になっとったかな?
遅めの昼食家で食ってそれから松永と一緒に外出た。
父ちゃんの車運転して松永が住んでた場所に向かった。
「なんもないな」
「そうだね」
松永が住んどった離れは壊されて駐車場になっとった。松永の婆ちゃんが生きてる時に松永の父ちゃんが離れとり壊すって話の時、松永の父ちゃんから買い戻してくれたんやけどね。婆ちゃん死んでそれが松永の元に来たけど松永は離れはもう必要ないって取り壊させて土地も売った。
「これでよかったん?」
「うん。これでいいんよ」
松永はそう答えたけど横顔見てたらそうは思えんかったけどなぁ
松永なりのケジメつけたんやろーと思う。もう過去を見ないってーいう決意みたいなもん?
決意はしても決心は鈍ってたし、後悔してるのもそばにおる俺は感じたりしてた。
ほんとは残しておきたかった気持ちもあると思う。
「次どこ行く?」
「スーパーどこ行ってたん?近いん?そこ行って飲み物でも買うか」
「うん。歩いて行く?」
「おぅ」
車は100円パーキングになった元離れに停めて松永と歩いてスーパー向かった
向かいながら
「ここ子供の頃からあった」やら「この道こげん綺麗やなくて」やら「ここが前話したI君の実家(前書いた松永の同級生でお前絶対松永に惚れたんやろー?ってやつ)」とか教えてくれた。
「俺の家と違って都会やなー」
「昔はこんなにマンションだらけじゃなかったけど........スーパーも駅もコンビニも学校も総合病院も徒歩圏内にあるから人気のエリアみたいになっちゃったみたいだね」
「松永が住んでたところ便利やけんなー」
博多駅も天神もチャリで行けるとこやしなー。あんま詳しく書けんけど福岡でも便利な街やね
「で、長野。スーパー三軒あるやけど全部見るの?」
「へ?」
「近くにスーパー三軒ある。全部行ってたけど」
「マジ?」
「うん。安売りの日とかポイントデーがそれぞれ違うから使い分けてた」
「マジかーwwww全部回るかwwww」
「えー......」
高級スーパー1軒と福岡の地元民にはよく知られとる西鉄ストアとサニーって言うスーパー見て回った。
「今日木曜かー......」
「どうしたん?」
「昨日の水曜なら特売やった。おいしい高めのコロッケが安くなるんよね。揚げ物は危なくて出来んかったけん水曜日はそれよー買いよったけん」
「それ買って食べよう」
「普通に買うと高いんよ特売やったら5個入りで.....」
「いいけんwww金ならあるってwwww」
んで松永がスーパーで子供の頃買いよったって言う5個入りのコロッケ買った。俺にはそげん高いとは思わんかったけど子供の頃の松永は高いって思ってたんやろーね。そん頃から節約しとったんやろう
「おー。まだあったけーな」
「うん」
コロッケ一口食った松永が涙目なっとった。
「どうしたん?」
「懐かしいなって。ごめん」
松永の父親の家も母ちゃんの方の婆ちゃんの家も貧乏やなかったんやけど松永の母ちゃんと松永が住んでた離れって質素やったんよね。なんもないってわけやないけど必要な物しかなかった。離れが取り壊される前に俺行ったことあるけん見たことあるけどなんて言えばいいかなー静かなんよね。静か過ぎるんよ寂しい感じっていうかあそこに母ちゃん死んだ後も一人で住んでコロッケ買って一人で食ってたんかーって思うとさぁ。
「これ当時のまんま?」
「うん。味も大きさもそのままだと思う。子供の頃はおいしいって思ってたけど今は.......普通のコロッケだね。揚げ物出来ないから特売の水曜にコロッケとちくわ天とかゴボ天とか買って食べた」
「そっか」
「僕には贅沢やったんよ。特売で安くなるんやけど高いお店の物で......自分で作るんやなくて全部買うのが」
コロッケの袋にはまだ3個あったんやけど松永がバッグにしまった。
「全部食べたらもったいない気がして」
「子供の頃から貧乏性は治らんみたいやね」
「うんwwww次行こうか」
車は駐車場に停めたまんま徒歩でその後も回ったんやけど徒歩で行ける距離って言っても結構歩いた。
自転車を子供の頃盗まれてからは全部徒歩で買い物とか用事済ませとったらしいけどそれでも全部回るとなると距離があった。子供の頃の松永やったらもっと大変やったろうと思う
「ここ教会」
「ここ通ってたん?」
「うん。小学校2年位までね」
幼稚園がカトリックやったらしいんやけどバリ真面目で嘘が嘘って分からん言われたことは全部信じる松永は神様も信じたらしい。神様が見てますよーいい子にしてれば救ってくれますよーの先生の言葉を信じたそうな。神社も寺も教会も好きでよー行った言う。
「どうして行くの辞めたん?」
「お母さん死んだから」
「あー........」
松永お母さんとお婆ちゃんの目がよくなりますようにってずっとお願いしてたんやけど治らんし死んでしまうしで「神様おらんやん!!」ってそれから神様信じる気持ちなくなったらしい。
「子供だったからバリショックやった。神様にすら見放された気がしたwwww土曜にね、子供会あるんよ。14時からだったかな?僕早めにお昼ご飯食べたら離れ出て何時間も前から教会の前の道に石で絵描きながら待ってたんよ。早く開かないかなーって。そん位信心深かったのにね」
「これ入れんの?」
「入れない。日曜と土曜以外開いてないから」
「そっかー残念やな」
「何もないよ。何もない」
そう言って松永が歩き出した。松永にとってはもう興味も関心もないんやろう。そん位裏切られた気がしたんかね。
んで、幼稚園も含めていくつか回ったんやけど最後がバリ遠かった。
「松永本屋に行ってた言いよったよね?それ今はない言うけどどこら辺なん?」
「○○........」
「うぉ!?」
松永の住んでたとこから2駅先でその駅からさらに距離ある場所なんやけど東京の駅と違って1駅の間が福岡遠いんよね。
「子供が歩いて行ける距離やないやろー!?」
「うん。あの頃バリ足強かったと思う。僕にとっては探検気分やった」
リュック背負って水筒入れて本屋に行っとったらしい。疲れてバス停の椅子に座ってお茶飲んでまた歩いて繰り返して行ってたらしいけど何がそこまで子供松永をかきたてたんかは分からんが......当時歩いて行ってた言うけんどうせやけん俺らも歩いて行ってみようってなった。
「暑ぃいいいい!!」
「日陰になる道通って行くけん。あとここのパン屋さん安くておいしい」
松永が車と日照りの道避けて当時から通ってた裏道で俺を誘導するんやけどバリ遠い。バスで行く距離やーんっ!!大人の早歩きでも30分は絶対かかるってー!!松永が新宿から八王子まで大学時代歩いて帰った話のルーツは子供松永にあるような気がした。こいつは歩くの苦痛じゃないっぽい。しかも歩くの早ぇえええ!!人とすれ違う時もっと足が早くなる。他人と関わりたくないっちゅーコミュ障全開で早歩きになるんやろーけどね
「あったのここ」
「銀行なっとるね」
銀行の建物になっとった。
「松永どっかで休憩せん?喉渇いた」
「そうやね。汗出て来る」
そりゃあんだけ暑い中歩いとーっちゃけん汗も出るっつーの
「お盆だけどお店開いてるのかなぁ」
「どっか近くにいい店あるん?」
「ちょっと歩いたとこにオシャレな感じの喫茶店あったはず」
「そこ連れてって」
「うん」
到着したら店は開いとって喫茶店っつーよりもオシャレなオープンカフェやね
酒も提供しとったけど我慢してアイスのデザートとスムージー頼んだ。
「人多くなくてよかった」
お盆で客がおらんかったけん拒絶せんで済んで松永がホッとしとった。
「この辺りもそうやけどオシャレストリートやなぁ」
「そうだね。僕の住んでる所からここまでの通り.....天神につながる道って昔に比べてオシャレな感じになっちゃったね。昔はそげんことなかったのに」
スイーツ屋やらシャレオツな食べ物屋とかが並んだ通りやった。
「帰りバスかタクシーにしようぜ......」
「暑いもんねwwww」
帰りは西鉄バスで松永の元離れがあった駐車場の近くのバス停で降りてそれから車に乗って家帰った。
「疲れたやろ?」
「楽しかったよ。松永の子供の頃の話も聞けたし見れたし」
「そう?お姉さん何時頃帰って来るん?」
「7時頃?」
「帰って来てみんなでご飯食べてから言うん?」
「おぅ」
松永の顔が強張っとった
「大丈夫やて。緊張すんな松永部屋におっていいよ。俺が話するけん」
「僕もそこにおる」
松永は俺の部屋でその間待っとってもいい言うたけど俺のカミングアウトのそばにおるって言う
姉貴が帰って来て一緒に飯食ってリビングで飲み物飲んでだべってた時
「酒飲まんのか?今日は夜遊びいかんのやな」
って父ちゃんが言って来た
「今日は家おるよ」
姉貴が「はよ言え」って顔でこっちチラ見しよる
分かっとーって!!分かっとーけどなんかタイミングがね。大丈夫って松永には言うたけど俺もちょっと不安があったショック受けるんやろーなーってね。彼女は?結婚は?ってぬかしてたからなー
「話があるんやけど。テレビ消してくれん?」
言ったーっ!!隣に座っとる松永も逝ってしまいそーな顔しとるーっ!!
とうとう来たってげんなりしとるー!!
俺が柄にもなく真面目な顔しとったけん「なんね?」って母ちゃんがリモコン取ってテレビ消した。
俺と松永の座ってるソファの斜め前のソファに父ちゃんと母ちゃん座っとって姉貴が俺らの前に座っとった。
「俺松永が好きなんよね」
なんて切り出せばいいか分からんでそげなこと言った。隣の松永の動揺が痛い程伝わった。
お前何回もシュミレーションしてたんじゃないかーい。
「好きなんやろーね。休みんたび家に連れて来るし」
「違う違う。そういうんやなくて」
母ちゃんの言葉に俺が言い返す。親友とかやないって。親友でもあるけど
「なんね?」
「俺松永が好きとって。松永も俺好き」
一瞬部屋がシンとした俺もあせってた
「ごめん。俺孫見せられんけん。松永が好きなんよ」
「どういうことか?」
父ちゃんが俺と松永見た。松永は俺が話出してからうつむいたまんま顔上げん。
「俺さー松永と一緒に生きて行こうって約束して海外で形だけやけど結婚式した。そん時の写真これ」
俺の背中に隠してた結婚式ん時にお富さんに撮ってもろた写真出した。母ちゃんと父ちゃんがその写真食い入るように見とった。
なんかしゃべってくれぇええええ!!空気が重ぇ。
「あんたの松永君が好き言うのは.....恋人としてってことね?」
「そう。今もやけど大学時代から付き合っとる。隠しててごめん」
母ちゃんが溜息ついた。その溜息はなんだ!?どういう意味の溜息だ!?
「やけん俺女と結婚せんし孫見せられん。ほんとにごめんって思っとる。でも分かって欲しいんよね」
「松永君はこん子のこと好きなん?」
母ちゃんが松永に聞いた。父ちゃん黙ったまんまやった。
「はい......好きです。すいません」
「謝らんでいいんよ」
姉貴が口出した。
松永が消え入りそうな声でそう答えて小さくなっとった。拒絶したくてしょーがねー!!ってのが俺にも分かった。
「そうね。はぁーそうなんね。聞いとったけどほんとなんやね」
ん?聞いとった?
「やけん言うたやろ?こん子松永君と一緒に住んどって東京の大学選んだのも松永君追ったけんなんよ」
姉貴ぃいいいいい!!お前何しゃべってるーん!?
俺たちが帰る前に姉貴が父ちゃんと母ちゃんにしゃべっとったらしい。やけど父ちゃんと母ちゃん半信半疑やったってさ。
高校生なっても彼女作らん、大学生社会人なっても彼女の話も出らんし連れて来ん。姉貴の話でそうなんかな?って思っとったっていうのとほんとにそうなんかね?って気持ちやったらしい。
「じゃあ何か?お前が夫で松永君が妻になるわけか?」
父ちゃんがアホな質問して来よった。
「そういうんじゃねーって。まぁ家事分担とかしよるけど」
「孫の顔はあんたには期待するなってことやね?」
「そうやね。ごめん。やけど老後の面倒とかちゃんと見るけん」
「あんたに見てもらわんでもお父さんと一緒に老人ホーム入るわ!!」
「最近の老人ホームよー面倒見てくれるからなあ。そげん時は母さんと二人で介護付きの老人ホーム入るさ」
俺の申し訳ない気持ちから出た言葉を拒否しおった
「あんたと松永君愛し合っとるってことなんよね?」
「そう。愛し合っちょる」
「あんたの口から愛し合ってるとかwwww」
母ちゃんと父ちゃんがなんか笑いよるんだが。笑い話やないやろー!?なんでこの場面で笑うーん!?
「バリ真面目な顔して愛し合ってるとかwwwww」
「なんで姉貴まで笑いよるんかっ!!俺は真面目ぞ!?バリ真面目に話しよーのに!!」
「あんたそげんキャラじゃなかろーもん」
姉貴が鼻で笑いやがる。
母ちゃんが松永に質問した。
「松永君こん子のどこに惚れたん?高校ん時は松永君家にも連れて来んかったし同じクラスでもなかったやろう?友達でもなかったっちゃないとね?」
「はい.......」
「姉ちゃんの話やと松永君追っかけて東京の大学行って押し掛けて付き合ったって話やったけどどうして好きになったん?」
「長野からいろんな物もらいました......そしたら好きになってしまいました。すいません」
「謝らんでよかとよ。松永君辛かねぇ」
松永が下向いたまま泣いとったのはみんな気付いとった。俺が背中ナデナデしよるのを押しのけて母ちゃんが松永のそばに座って「泣かんでいいとよ。辛かったねぇ」って何度も声かけよった。松永の生い立ちとかは俺も話しとったけんそれも含めて慰めよったんやろーけど松永が流す涙は俺の家族に申し訳ないって涙やったと思う。
「こん子のことよろしくね」
「よろしくしてくれ。んじゃそういうことやけん」
「あんたね!!松永君に迷惑ばっかかけてるんやないとね!?家の外じゃエエカッコしぃで家じゃぐーたらやろーもん!!ずっと迷惑かけてるんやないね!?」
「んーなことねーっ!!俺の評価なんでそんなに低いーんっ!?」
「高いわけなかろーもん!!あんた家んことなんも出来んし!!松永君に全部してもらってたやないね!!」
母ちゃんと姉貴がボロクソ言いやがる。
んでその後なんやかんやあって今日長旅で疲れたやろーけん俺と松永バラバラに先に風呂入ってゆっくり休めってことなって松永を先に風呂入れた。
松永が風呂入っとる間姉貴に腕取られて姉貴の部屋に拉致られた。
「なんって?」
「私が話した時お母さん少し泣いとったよ」
「.........それってどういうことなん?」
「お母さんやっぱあんたの子供の顔見たかったと思うんよ。でもさあんたの幸せ願ったんやろ。お母さんとお父さんに感謝しーよ」
「ショック受けてたんか」
「ショックに決まっとるやろ。あんた男の子でお母さんあんたのこと可愛くて仕方なかったんやけん」
「ちょっと行って来るわ」
姉貴の部屋出て父ちゃんと母ちゃんのとこ行った。
「ありがと」
「よかよ。あんたしっかりしなさいよ。松永君と一緒に生活してるんやろ」
「今度遊び来て」
「そうやね。お父さんと二人で遊びに行こうかね」
「ほんとあんがと」
「いいけんあんた自分の部屋戻んなさい」
母ちゃんが泣いとったのを父ちゃんが慰めてたのは分かったけどそれを俺に悟られんようにしとった。
母ちゃんの優しさやろー。松永が嫌いってわけやなくて俺の幸せ願って孫諦めたってことにほんとに申し訳ないってそん時思った。
「ちゃんと親孝行するけんさ」
「期待しとらんけどあんたがそう言うんならその日を待っとこーかね」
「おぅ」
「松永君上がった音したけんあんたも風呂入りなさい」
「分かった」
洗面所向かって松永と入れ違いに風呂入って俺の部屋で早めに二人で寝た。
「長野」
「なん?」
「これでよかったん?」
「よかったとって」
「お母さん悲しかったって思う。その上に僕たちの幸せってあるん?」
「そげん考え方やめろ。母ちゃん納得したとって。ショックやったかもしらんけどそれで納得したんやけんそういう考え方しろ。ドツボにはまんなよ」
「うん.........」
松永嬉しそうじゃなかった。
認められたっていうことよりも俺の家族悲しませたんやろうってことを気にしとった。
エッチはせんかったけどその日もいつもんように抱き合って眠った。
んで次の日。
昨日の今日やけん家族が変な具合やったらげんなりやなーって思っとったけどいつも通り以上やった。
「松永君が息子になるんかね?娘?でも男の子よね?」
「はぁ.......どうなんでしょうか」
「結婚式海外でしたんやろ?あん子の奥さん?夫?」
「どうなんでしょうか......」
「かわいい息子出来たわーwwwww」
母ちゃんが台所で朝飯の準備手伝いよる松永にバリベタベタしとった。俺はほっとしてた。
孫は見せられんけど母ちゃんのマジタイプなかわいい息子もう一人増えたけんそれでよかろー
父ちゃんは新聞読みながら俺チラチラ見よった。俺と外見もそうやけど性格も似てるとこあるけん絶対このエロ親爺俺と松永のエッチとか想像してるんやないか......って思ってしまう。
「なんチラチラ見ようとって」
「まぁ頑張れ」
「何を?wwww」
父ちゃんも母ちゃんラブでバリイチャイチャしよったけんなぁ。子供の前でも甘えとったけど今でも俺らがおらん時甘えとるはず。若い時の父ちゃんと俺似てんなって思った
「今日はどんな予定ね?」
「松永とちょっと出かけて来る。父ちゃん車貸して」
「よかよ」
松永を松永兄ちゃんと会う場所まで送って二人の話の間は俺車の中で待ってそれ終わったら二人でどっか行く予定やった。なんの話するかはそん時知らんかったけど松永も俺のカミングアウトと同じように松永の父親の家族に対してある決意をしとった。
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