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14.にしおりをはさみました!
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14.
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その後は、久弥の身体が辛そうな事もあり、昼近くまでベッドでのんびり過ごした。
11時を過ぎると、昨夜の激しい運動のおかげもあり、流石に腹も減ってきて、二人の腹が同時に空腹を訴える。
あまりのタイミングの良さに、思わず見つめ合って笑ってしまった。
「なんか作ってくるから、ちょっと待ってて。
食べたい物、ある?」
「“何でもいい”って、一番困りますか?
でも、ホントに今は樹さんの手作りなら何でもいいんですけど」
久弥がクスクス笑いながら答える。
一年前までは当たり前だった光景に、嬉しさを噛み締める。
俺は、こんな幸せを、自らの手で壊そうとしていたのかと思うと、今更ながら恐怖を感じた。
つい、じっと見ていたらしい。
久弥が不思議そうな、少しだけ不安そうな目で俺を見上げていた。
「…樹さん…?」
「ん、ああ、悪い。
じゃあ、パスタでいいか?
今度時間あるときに手の込んだもの作るから。
今は、腹減った」
笑いながら問い掛けると、久弥が安心したように頷くから、胸がぎゅっと締め付けられた。
キッチンに向かうため、久弥に背を向けると、静かに涙が流れてしまった。
ベッドまで食事を運ぼうと思っていたのだが、作っている最中に久弥が起きてきた。
フライパンを握る俺の背後に立ち、後ろから両腕を回してくる。
その手を片手でぎゅっと握ってやると、肩に額を擦り付けてくる。
「ひ~さ~? どした?」
珍しく甘えてくる久弥に問い掛けると
「何でもないです」
と答えながらも、俺から離れようとしない。
手早く作り終え、ずっと抱きつきながら待っていた久弥の頭を撫でてやる。
「ソファに行くか?」
問い掛けると、俺の手に頭を押し付けるように預けながら、コクリと頷いた。
ソファに並んで、寄り添いながら食べる。
「樹さん、流石に食べづらいですよ」
ふふっと笑いながらも、久弥だって自分からくっ付いて来ているんだから、まんざらでもないのだろう。
「ん~?じゃあ、離れる?」
ニヤニヤ笑いながら意地悪く聞くと、
「それはダメ」
とまたふふっと笑いながらくっ付いてきた。
『ホント、俺って幸せだなぁ…』
「久弥、ありがとう。
愛してるよ」
自然と言葉が口をつく。
「ん。オレも」
どちらからともなく交わしたパスタ味のキスは、幸せな味がした。
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