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「んでさ、サークルでぇ、ハイキング行こうかって話」
女子の話題は唐突に変わる。
「ハイキング? いいねー」
「どこに?」
「やー、いくつか考えてはあんだけどさあー……」
浅原は流暢に女の子と喋る。はー。昔からモテてたんだろうな、こいつ。
「あ、でも浅原くん、この前みたいなのは駄目だかんね」
「………なに。俺なんかした?」
「アキヨシくんと!」
「……………バレてた?」
お? 照れてる? てか誰、アキヨシくん。
「ぜぇーったい、あのあとヤッたでしょ」
「ヤッた」
「だーから、うちそーゆーの、駄目だから。ヤリサーじゃないから」
「ごめんごめん」
うわ、謝りかたも爽やかだ、こいつ。
きしょい。
「あーでも、…………あれよ? あいつとは新歓行く前からヤるって話だったから」
「だとしても駄目ですぅ」
「あーはい。すみません」
アキヨシくんて誰。呟いたら、浅原がむこうの席を指差してくれた。わお、中性的なイケメン。あんなの、現実にいるんだ。フォトショされてね? え、現実? あそこだけ眩しい。
てか、男じゃん?
んんん?
「…………ヤッたの」
「え? ヤッたよ?」
「………………んん?」
混乱する。どゆこと?
「………………あのね、俺ね、男としかセックスしないの。オーケー?」
「え、は? オ、オーケー。え、なに?」
あんま突っ込むな、と水野が止めてくれる。じゃあハイキングの話はLINEで。解散して、また水野と二人に戻る。
「…………………お前、知ってたの」
全然サンドイッチを減らさない水野に、聞いた。
「うん。……てか、もう学校中、有名だよ? 超イケメンのゲイがいるって」
「………………あそ。そうなんだ」
「うん」
へえ。あ、そう。へええ。
…………ま、どうでもいっか。
しかしホモにも偏見ない学校とは、素晴らしい。広いな。校舎が広いと人の頭ん中も広いのか。なんか、高校と比べて人間関係が薄まってるっていうか、あんま他人を気にしない。ぼっち飯もいるし、友達を作らない奴もいる。個性的な格好の人もいる。社会に出れば、これがもっと広くなんのか。楽しみだなあ。
「…………………お腹いっぱいになっちゃった」
「嘘だろ?! 食えよ!」
水野の食欲にビビる。サンドイッチ一切れが限界は、さすがに。
「いや、これあんま美味しくな………あ、美味しいよ? 食べる?」
「あ? 今明らかにてめー、」
「美味しいよ? はい、あーん」
「………………」
肉入ってる。
のに、つられた。
「…………………………うえ、これなに味」
「鴨肉とブルーチーズ~春のコチュジャンを添えて~」
「コチュジャン? コチュジャンに季節性ある?」
「僕、ブルーチーズ駄目だわー」
「それは最初から買うなよ」
やっぱお弁当にしようかな、なんて優しい笑顔。くそ、こいつには一生頭があがらねえ。
「お弁当といえば? 春くん、何食べたい?」
「……唐揚げ」
「あは、やっぱり。あとは?」
「……………卵焼き」
「了解」
こいつと友達になれて、よかった。
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