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焦りにしおりをはさみました!
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焦り
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明日から念願のテレワークだ。
ここ数日間、りつには寂しい思いをさせた。
「行ってらっしゃい」と言う時のりつの顔はいつも寂しそうだった。
気付いていたが、気付かないふりをしていた。
今日は初めてりつにおやつを用意していたが、喜んでくれただろうか。
りつのことで頭がいっぱいになっていたが、仕事はしっかりこなして、今日は帰っていいことになった。
帰ったら思う存分甘やかしてやろう。
車で家に帰る。
いつも玄関で待ってるりつが可愛くて仕方ない。
家に着いて、ドアを開けた。
が、玄関にりつの姿はない。
いつもいるのに、と少し寂しく思ったが、帰る時間がいつもよりだいぶ早いからだろう。
「りつー、ただいまー」
返事はない。寝てるのか?
「りつー?」
部屋のドアを開けると、蛇口の水が出しっぱなしだった。
水を止めようとキッチンの方へ行くと、そこにはうつ伏せで倒れているりつの姿があった。
「りつっ!!」
仰向けにすると、りつの目や口が腫れていて、胸元が痒かったのか血が出るほど掻いていた。
パニックでどうすればいいのかわからず、とりあえず奏斗に電話をかける。
奏斗は1コールで出てくれた。
「もしもし慧?どうしたの?」
「りつが!りつが大変なんだ!帰ってきたら倒れてて!」
「落ち着いて、深呼吸して。それからりつくんの様子を教えて。」
言われた通り一度深呼吸をする。
「帰ってきたらりつが倒れてて、目と口が腫れ「...おぇっ...ん...ぅぇ...」りつっ...!」
「どうしたの?」
「りつが吐いてる!顔が真っ赤だ。胸元を掻きむしったようで血が出てる。」
「りつくん呼吸出来てる?意識は?」
「ゼーゼー言ってる。あんまりできてないのかもしれない。苦しそうだ。りつ、わかるか?聞こえてたら手を握ってくれ。」
「どう?反応する?」
「しない...」
「わかった。気道の確保して。救急車は手配したから、慧も一緒に来てね。絵本も持ってきてあげて。」
「わかった。ありがとう。」
いつの間にか救急車を手配してくれたらしい。
本当にありがたかった。
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