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花鳥風月の蝶8にしおりをはさみました!
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花鳥風月の蝶8
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「よろしく頼む」
その声は、彼が太夫を着た瞬間だった。
夜蝶は、短く『はい』とだけ返事をして、
彼の髪に手をかける。
錦糸のように滑らかで、艶やかな髪に櫛を通して、
もっと光沢をだしていく。
髪の長さは、腰に届かないくらい。
手早く櫛を通して油と共に乱れないように髪を結っていく。
一夜にして、引く手数多の御仁を相手にする太夫の髪が動いて、
乱れないようにする。
誰だって、誰かの相手をしてきて、
乱れた髪の太夫に相手をされたくは無いだろう。
いつだって客は、
太夫の1番の馴染み客であるという実情を楽しみに求めに来るのだ。
確かに、多少乱れた程度では、
太夫の艶やかさを昂らせることにもなるが、それも限界がある。
太夫がその髪を解くまで、
髪が太夫の美しさを保てるように髪を結っていく。
「失礼します」
先ほどの夜蝶と同じように、襖が開くと太夫の禿が入ってくる。
「はい、よろしく」
動けない太夫は、鏡越しに禿を確認すると手短に返事をした。
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