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18歳以上ですか?
17にしおりをはさみました!
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17
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「や、やっと出られた…」
「噂は本当だったんですね…」
レオンたち一行は、三時間ほど歩かされた後、ようやく入口へと戻ってくることができた。さすがのレオンも、同じ道を延々と歩き続け、その間中神経を張り詰めさせていたために、疲れの色が見える。
「…今日のところは引き上げよう。全員このまま帰宅してもらって構わない。ゆっくり休め」
森を出るころには、もう日が沈み始めていた。想定よりも森を歩かされた時間が長くなってしまったため、疲れ果てている隊員たちはその場で帰してやることにする。
隊員たちに労いの言葉をかけると、レオンは終礼とマルコへの報告のため、馬に乗って警備署へと一人走り出した。
その日の翌日から、レオンは連れていく五人の隊員を入れ替えながら、精霊の森までの道を乗馬訓練とし、再び同じルートで隊員たちを警備署まで走らせた。
初日の調査で精霊の森が危険な場所でないということはレオンにもわかっていたので、精霊の森に着いたら隊員たちを警備署に帰し、レオンはその後、一人で森の巡回をするようになった。
「あなたほどの人が特別危ない場所じゃないと感じる場所なら、巡回をする必要はないんじゃないですか…?」
「…それも一理あるな。だが、今は安全でも、今後危険な場所になってしまう可能性もある。それは毎日見ていなければ、気付くことすらできないのではないかと思う。毎日でなくとも、定期的に様子を見るようにしてほしい」
マルコに聞かれたレオンは、そう言ってマルコの目を真っすぐに見返す。マルコはガルダーラ元隊長のことを信頼し、尊敬している。そのガルダーラがこれまで安全だと言って巡回していなかった精霊の森を、改めて巡回する必要があるのか疑問だったのだろう。レオンの言葉に、マルコは少し考えながらなるほど確かに、と頷いている。
何が正しいかということではなく、これはレオンの性分でもあった。本で読んだこと、人から聞いたこと。どんなことでも、きちんと自分の目で確かめるまでは心の底から納得できないのだ。
誰があの森を安全だと言おうと、きちんと自分自身の目で見なくては信じられない。それを他人に押し付けるつもりはないが、森が気付かぬ間に悪人の巣窟になっていた、などということがあっては笑い話にもならない。
レオンが森を巡回すると言っても、ただ精霊たちに迷わされて、散々歩かされた挙句に入口に戻されることの繰り返しなのだが、何日も繰り返しているうちに、森を出るころには、今日も安全だったな、と謎の達成感を得られるようになっていた。
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