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1.出会いにしおりをはさみました!
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1.出会い
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「転校生を紹介するー。」
ジリジリと焼けるような暑さ。窓から見える校庭は、湯気が立っているようにユラユラと揺らめいて見えた。前に向き直すと、反動で汗が頭皮を伝う感触がする。
今朝めくられたカレンダーは7月になっている。
「さ、自己紹介どうぞ。」
先生の隣に立つ奴を見ると、なんとも涼し気な顔をしているように見えた。
そいつは一度ぐるりと辺りを見回した。目が一瞬だけ合う。
無表情だったのが、キュッと口角が上がり、つられて目が細まる。
「早上 十八(はやかみ とおや)です。親の仕事の都合で急な転校が決まり、ちょっと不安ですが...、楽しくやっていけたらなと思います。よろしく。」
いかにも愛想良さげな感じでそう言うと、教室からは矢継ぎ早に返事が返った。
一気に騒がしくなる教室。女子たちはどこか色めき立った声を上げている。
俺のクラスは割と仲が良い方だと思う。多少のスクールカーストはあるかもしれないけど、さほど関係なくみんな仲良くしている。きっとこの転校生もすぐ馴染める。
そんなことを考えながら机に突っ伏す。暑いのが特段苦手なのだ。外の気温の影響を受けやすい窓際に当たったのは不運だった。夏は暑く、冬は寒い。ただ、授業がつまらないときに窓の外を眺めるのは好きだった。
先生の教室を鎮めさせる声が聞こえてきたあと、少しして後ろの方でカタリと音がした。
俺の後ろの席は空いているから、もしかしたら転校生の席がそこになったのかもしれない。
さっきの状態を見る限り、ホームルームが終わったあとのことを考えると少し憂鬱になった。
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