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18歳以上ですか?
60にしおりをはさみました!
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60
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あれから1週間がたっても、復旧の目途はたっていなかった
高速バスで帰ろうとしてもみんな考えることは同じらしく、どのバスも満席だった
リモートで会議しながら書類作って会社に送る
意外と慣れれば楽なものだ
蓮とも毎日欠かさずLINEをしたり電話したりしている
夜ご飯は必ず一緒に食べる!と蓮が初日に決めてから毎日テレビ電話しながら夜ご飯を食べる
事件発生から10日
朝ミーティングした時の佐藤君の様子がおかしかった
俺もそうだが、彼もきっとホテルの外にほとんど出ていない
食事や必需品は3日に一回買いだめするし街中が緊張していて散歩すらできないような状況だ
佐藤君に電話をかける
2回ほどコールしたあとつながった
「……はい、佐藤です」
「大丈夫?
ちょっと滅入ってきた?」
「…はい」
「今日は昼一緒に食べるか
俺の部屋来い」
「いいんですか?」
「ろくに体も動かせないし人とも会わないからきついよな
俺もそろそろしんどいよ」
「そう、ですよね」
着いたらノックするように言って電話を切った
休み時間は1時間
少しでも話して気がまぎれるならそれでいいと思った
「おじゃましまーす」
スマホだけ持ってきた佐藤君は昼ごはんを食べるつもりがないらしい
「午後からまた議事録やるんでしょ
食べないと持たないんじゃない?」
「食欲ないっす」
「じゃあこれ飲んどけ」
カップにお湯を注げばすぐにできるインスタントのスープを渡して自分も冷蔵庫から弁当を出す
そろそろ温かい作り立てのご飯が食べたい
「せんぱい」
「ん?」
「おれ、正直しんどいです
こんなに家開けるの初めてだし、いつ帰れるのかわからないし、飯は毎日コンビニだし、みんな疑心暗鬼になって何しようとしてもボディーチェックされて…」
「ああ、しんどいな」
「先輩」
「なに?」
「おれ、このままじゃおかしくなりそう」
「うん
俺もそう思う
早く帰りたいよな、」
「たった3日のはずだったのに!」
「うん」
「なんでっ…!」
「佐藤、午後は休め
ここにいていいから」
「なんでですか?俺のこと必要ないですか?」
「違うよ。今の佐藤には休みが必要って思ったんだ
もう一度精神的に立ち直れるまではここで生活してもいい
とにかくこういう時は人に触れていることが大切だと思うし。」
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