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千里眼の老婆5にしおりをはさみました!
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千里眼の老婆5
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そう言われたが、曖昧な表現で濁しているところを見ると、老婆自身確たる証拠があって言っている言葉ではないようだった。
「……仮にその言葉が真実で、キョウヤが純粋なエインストラではなかったとしても、エインストラの血が混じっていることにはなる」
王の言葉に、老婆が目を細める。
「その通りだ。だから、お前さんたちからしたら厄介だろうね。儂も何もかもが判る訳じゃあないが、エインストラの血を使えば次元に干渉しやすいのは事実さ。仮にあの子が先祖返りだとして、薄れ切ったエインストラの血でどれだけのことができるかは知らないけれど、もしかするともしかするかもしれないからねぇ。それに、命の危機に瀕した生き物というのは、時に想像を凌駕するほどの何かを見せることもある。あの子を極限状態まで追い詰めれば、一度くらいはエインストラとしての力を発揮するかもしれない。……まあ、それも本当にあの子が先祖返りだったら、の話だけれどね」
老婆はそう言ったが、彼女がこうして話すということは、あの子供がエインストラの血を引いている可能性は高いのだろう。そして、その血が次元に干渉する手助けになる可能性も高いということだ。それどころか、場合によってはエインストラとして覚醒してしまう可能性すらあるらしい。
「……エインストラとは、それほどまでに強大な力を持つ生き物なのだろうか」
王としてはそれなりの回答を覚悟しての問いだったのだが、しかし老婆はやはり呆れたような顔をした。
「馬鹿を言うんじゃあないよ。あれにできることなんぞ、次元を越えることと、あとはせいぜい、万物の真の姿を見抜くことくらいさ。あれの役目は、神に地上の有り様を正確に伝えることだけだからね。例えば単純な力比べをするのなら、お前さんらの方が遥かに強い。特にこの地の人間は精霊に愛されているからねぇ。とてもじゃないが、エインストラでは太刀打ちできないよ」
「……万物の真の姿を見抜く、か」
呟き、王は僅かに目を細めた。
もし少年のあの目がエインストラとしてのものだったとしたら、だからこそあの異形の瞳は、王の本質を見抜いたというのだろうか。あの子は、自身すらも知らない王の核の部分を見抜いたというのだろうか。
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