アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
異変11にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
異変11
-
「物怖じせずに自分の考えを述べるのはお前の美点だし、私はお前のそういうところを好ましいと思っている。実際、お前の感じる疑問は尤もであり、それを伝えるということは非常に重要なことだ。私が誤らないという保証はないのだからな。今後も頼りにしているぞ」
「勿体ないお言葉です」
ミハルトがこうして王の策に苦言を呈する光景は、実は見慣れたものである。ミハルト自身が切れ者なのもあり、王の作戦に対して異を唱えるのは大体が彼だった。問答の際に少々失礼な態度を取りがちな部下に、ガルドゥニクスはいつもハラハラしているのだが、当の国王はいつもミハルトとの問答をにこにこと楽しんでいるようなので、彼も団長として強く咎めることはしていなかった。結局最後にはミハルトも王の意見が正しいと感嘆するのが常のことだったので、実際そこまで問題はない。
ただ、一度だけあまりに議論が白熱しすぎてミハルトがやや暴言のようなものを吐いてしまったことがあり、そのときばかりは歴戦の猛者であるガルドゥニクスも肝を冷やしたものだ。あれはもう本当に怖かった。王がではない。すました顔で王の隣に立っているそこの宰相がである。
そんなことを思い出しながら、ガルドゥニクスは国王に向かって口を開いた。
「陛下のお考えは理解しましたが、もし国境を襲ったのが陛下のお手を煩わせねばならないほどの強敵だった場合、帝国の狙いは金の国で、陛下をそこから遠ざけようとしている可能性が高いのでしょう? そんな中でギルガルドから戦力を削ぐのはやはり問題があるのでは?」
ガルドゥニクスとしては当然の疑問を述べたつもりだったのだが、そんな彼をミハルトがやや呆れたような顔で見た。
「何を言っているんですか、団長。あそこまでのことをお考えの陛下が、そんな団長ですら考えつくような問題点に気づいていないはずがないでしょうに。当然、抜かりなく対策済みなのですよ」
小馬鹿にしたような物言いに、ガルドゥニクスが引き攣った笑みを浮かべる。だが、おおらかで優しい性格の彼が怒ることはなかった。実際、ミハルトの方が頭が回るのは事実なのだ。それに、彼がこういう生意気な態度を取るのは懐いている証拠である。それを十分理解しているので、こういう失礼な態度も大目に見ることにしていた。
「……ガルドゥニクス団長も大変ですね」
ずっと黙って控えていたレクシリアがぽつりと漏らした声に、ガルドゥニクスは曖昧な微笑みを返した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
109 / 216