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異変18にしおりをはさみました!
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異変18
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「私は、ギルディスティアフォンガルド王国軍第三師団のダリ・バルディと申します。緊急事態につき、このような手段で突然連れ出してしまったこと、深くお詫び申し上げます」
「え、あ、いえ」
「ここから先は木々が密集しておりますので、地上を行かせて頂きます。どうかご勘弁を」
寧ろ少年にとってはその方が良い。そう思いながら頷くと、男は騎獣を操って林の奥へと進み始めた。
「……あの、何があったんですか?」
「グランデル王国が帝国の襲撃を受けました。帝国の狙いは不明ですが、この混乱に乗じ、再びキョウヤ様を攫う算段なのかもしれない。そうご判断されたギルヴィス王陛下の命により、こうして私がお迎えにあがりました」
「グランデル王国が……」
赤の王の顔がぱっと浮かび、少年はどこか不安そうに目を伏せた。
「……あの、ロステアール王陛下は、ご無事なのでしょうか……?」
あの王が武勇に名高く、優れた魔法を扱える人物であることは知っている。それでも、実際の戦場で駆ける王を見たことがない少年は、不安になってしまうのだ。
「申し訳ありません。私も命を受けてすぐに発ちましたので、詳細は存じ上げないのです。詳しいことは、この先でお待ちのギルヴィス王陛下よりお話があるでしょう」
男の言葉に少年は思わず彼を見たが、後ろからでは前を向いている彼の表情を窺うことはできない。
(王様が、こんなところに……?)
少年のようなただの庶民が王意を量ることなどできる筈がない。だが、それにしても、たかだか国民ひとりのために国王自らがこのような場所まで赴くのはおかしい気がした。
(僕がエインストラかもしれないから……? いや、だとしても、やっぱりこんなところまで来るのはおかしい気がする。だって、グランデルが襲われたってことは、この国にも何かあるかもしれないってことで、そんなときにわざわざ王宮から離れるようなことをするのかな……)
「キョウヤ様? どうかされましたか?」
訝しむような声を受け、少年は咄嗟に、不安と安心感がないまぜになったような表情を作った。
「いえ、ロステアール王陛下がご無事だと良いなと、少し、不安になってしまいまして」
「ああ、キョウヤ様はグランデル王陛下と恋仲でいらっしゃいましたな。……心中お察し致します」
そう返された言葉に、やはり違和感を覚える。何がひっかかるのかまではうまく判らないが、何かがおかしい気がするのだ。
だが、結局その答えを見つけられないまま、少年を乗せた騎獣は林の最深部まで到達してしまった。辿り着いたそこには、十数人程度の兵と淡い金髪の少年、ギルヴィス王が待っていた。
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