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水の呪い13にしおりをはさみました!
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水の呪い13
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ちらりとグレイを見たレクシリアは、手に持っている地図をグレイの方に差し出し、さきほど示した位置を指でとんとんと叩いた。
「指定した座標に指定した角度で落ちる矢を放てと、国王陛下よりご命令を受けました。その座標の位置が、国境近くのこの辺りなのですよ。しかし、残念ながら私の記憶力では正確な位置までは判らないので、早く地図を持って来なさいと言っているのです」
「はあ!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまったのは、グレイである。だが、その場にいたガルドゥニクスもミハルトも、苦笑を禁じ得なかった。
「何言ってるんですかあの馬鹿! ここから国境までどれだけ距離があると思ってるんです!? 第一、そんな座標で言われてもぱっと判るわけないじゃないですか! その上、入射角の指定までしてくるだと!? これだから人外は!」
叫ぶグレイに、レクシリアが咳払いをする。
「グレイ、陛下はれっきとした人間であらせられます」
「れっきとした人間は座標なんか記憶していません。ああもう、本当に気持ち悪ィなあの化け物……」
盛大に悪態を吐いたグレイを宥めるように、レクシリアは彼の頭を撫でた。この年若い魔術師が赤の王に拒絶反応を示すのは、いつものことなのである。
「まあまあグレイ。今回の件はそこまで不思議なことでもないのですよ。陛下が即位されて一年ほどの頃に、私と陛下でどちらが座標の数値から場所を特定できるかという遊びを飽きるほどしましてね。その過程で覚えられたのでしょう。陛下ほどの方であれば、それくらい容易いことでしょうし」
「信者は黙っていてください」
ばっさり切って捨てたグレイは、僅かな可能性に賭けてガルドゥニクスとミハルトに視線に投げたが、彼らもまた感嘆しきったような表情をしていたので、見なかったことにした。
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