アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
水の呪い17にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
水の呪い17
-
「悪いな。頼むぞ、ルーナ。それから、火霊、水霊、“|虚影の膜《ミラージュ》”だ。至近距離では視認できる程度に、俺たちの姿を隠してくれ」
「幻惑魔法ですか?」
「ああ。敵方に遠見ができる奴がいたら面倒だから、まあ、念のためな」
レクシリアの考えは判るが、それにしても相変わらず細やかな魔法を使う人だ、とグレイは思った。これが赤の王であったなら、誰も認識できないほどに強固に己の姿を隠してしまうのは勿論のこと、想定していた効果範囲を遥かに越える範囲のあらゆるものの姿を隠した挙句、膨大な魔力を消費して魔力切れを起こしていたところだろう。
(まあ、そもそもアイツは水霊魔法の適性がないから幻惑魔法は使えねェんだけど)
こうしてミオンに乗り込んだ二人は、東の監視塔へ向かった。歩けばそれなりに時間がかかる距離だが、空を翔ける騎獣の脚ならばすぐである。
監視塔に辿り着いたレクシリアがまず行ったのは、人払いだった。監視を担当している騎士団員たちを一時的に下がらせ、塔にいる人間を自分とグレイだけにする。その上でレクシリアは、地図との位置関係を確認しながら、慎重に自分の立ち位置を選んだ。
「それで、どうするんです?」
「ああ、そういやあのときお前はいなかったな。地霊魔法の効果を矢に与えて飛ばすんだよ」
「……地霊魔法って、確か風霊魔法に弱いんじゃなかったですっけ」
「そうだな」
「相変わらず無茶苦茶言う馬鹿野郎ですねェ、あの王サマは」
ガルドゥニクスと似たような感想を悪態を交えて述べたグレイは、盛大な溜息を吐き出した。
「それで、どうやって国境まで矢を飛ばすって言うんです? そのためには風霊魔法による補助が必須だと思いますけど、それだけの風霊魔法を使えば、折角付与した地霊魔法が掻き消されてしまうのでは?」
グレイの言う通りだ。火霊が水霊を苦手とするように、地霊は風霊を苦手としている。故に、単純に地霊魔法を付与して矢を飛ばしても、王の望む矢を届けることはできないだろう。
一体どうするつもりなんだという目で見てくるグレイを尻目に、レクシリアは矢をつがえた。
「まあ見てろ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
138 / 216