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窮地20にしおりをはさみました!
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窮地20
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「あ、あの、一人で大丈夫、なんですか……?」
「さて、どうでしょうか。これでもギルガルド王国内では強者として名を馳せておりますが、無論グランデル国王陛下には敵いませんからね。……ですが、持ち堪えるくらいならば私にもできましょう」
貝が吐き出す黒い靄が、徐々に辺りへと広がっていく。ゆっくりではあるが確実に森を飲み込んでいくそれに、少年は思わず後ずさりをした。しかし、そんな彼をちらりと振り返ったカリオスが、少年を落ち着けるように小さく微笑んでみせる。
「風霊を使い毒の類でないことは確認しております。触れてどうこうなるものではないようですので、その点はどうかご安心を」
「でも、あの、魔導師の女の子が、同じ靄みたいなものを操ってて。多分、幻覚を見せる作用があったんだと思います。だから、もしあれもそうなら、触らない方が」
そう言った少年に、カリオスはやや怪訝そうな顔をした。
「ということは、十中八九この魔物はその少女の契約相手ですね。しかし、肝心の魔導師は今どこに?」
「……死んで、しまいました……」
その言葉を聞いた瞬間、カリオスの顔色がさっと変わった。そしてそれとほぼ同じタイミングで、黒い靄が一気にぶわりと広がって周囲を埋め尽くした。
思わず身を固くした少年の腕を、カリオスが掴んで引き寄せる。
「どうか私の傍を離れぬよう」
「あ、は、はい」
先ほどまでよりも明らかに緊張を孕んだカリオスの声に、少年は事態が芳しくないのだろうことを悟った。
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