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閑話:山地優征という男2〜モブ視点〜にしおりをはさみました!
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閑話:山地優征という男2〜モブ視点〜
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日曜の模試帰りに友人と本屋に寄った。
そこで参考書を選び終えて、漫画を見に行こうとすると、見慣れた人物がいた。
「あっ、山地。」
今気付きましたと言わんばかりにそう言う。
「え?どこだよ?」
「ほらあそこ。漫画コーナー。」
「アイツ漫画なんか読むんだ…」
確かに、漫画なんてそんな俗世?のものを山地が読むのは想像がつかない。
その姿をしばらく見て、俺はとあることに気がついた。
「誰かと喋ってる」
ちょうどこの場所からだと、棚が邪魔をして隣が見えない。
「彼女かな?」
なんて言って、様子を伺っていると、山地が歩いてきた。
俺たちは、なんとなく顔を合わせたらマズイと思って急いで雑誌を持った。
雑誌を読む振りして、チラチラと山地の方を伺う。
今までに何回か私服を見たことがあったが、いつもに増して気合いの入ってそうな服だなあと思った。
「これこれ、最近流行ってるんだよなー。知ってるか?」
漫画を持ってニカッと笑う山地。
そんな表情も出来たのか、と思わず驚く。
喋り方だって、いつもよりフランクな感じで、高校生らしさを感じる。
「バカにすんな!」
穏やかでない返事が聞こえた。
まだ顔は見えない。
後ろ姿だけが見える。
「いや、お前が流行に疎そうだなあと思って、親切に教えてやってんだろ。」
こんな憎まれ口を叩く山地は、初めて見た。
すごく楽しそうな顔してる。
いつもの笑顔はなんなんだって感じ。
「それがバカにしてるって言うんだよ…」
はー、と溜息をつく声は、女の子のものじゃない。
「はいはい、いいからさっさと欲しいの選べよ、なんでも買ってやるから。」
えっ、なんでも買ってあげるんですか、甘やかし過ぎだろ……….
兄弟かな?と友人が呟いたけど、山地はひとりっ子のはずだ。
ようやく2人は歩きだした。
俺たちはこっそりと後を追う。
山地はカゴいっぱいの漫画をレジに持っていった。ちょっと待て、それいくらになるんだ。一冊税抜き400円としても軽く万は超えるだろ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
そして2人は駅まで歩き、漫画をコインロッカーに入れた。
まあ、ずっと持ち歩く量じゃなかったもんな。
そして山地と一緒に歩いてる子の横顔だけは見えたんだが、すごく美形の予感。
そして2人が向かったのは、とあるデパートのメンズ館。
デパートで服を買う高校生ェ………
鏡越しに男の子の顔が見えた。
紛れも無い美少年だ。
イケメンの周りには顔面偏差値高いやつしか寄ってこないのだろうか。
「これ似合うんじゃない?」
そう言って山地は男の子の前にマフラーを持っていく。
「そう?じゃあこれ。」
男の子はマフラーを吟味することなく、即決した。
山地はそんな男の子をチラリと見て、
「俺も同じの買おうかな。」
と呟いて自分の首元に寄せる。
山地…マフラー似合いすぎだろ……
俺もあれ欲しいわーかっこよくなれそう。
「お前とお揃いとか嫌だ。」
ツーンとそっぽを向いた男の子、今のは暴言だぞ。
山地とお揃いなんてしたいやつがどれだけいると思ってるんだ!!
「おいおい、そんなこというなよ〜〜、じゃあこれは浩也に買って帰ろうか。」
こうや って誰だろ。
そんなことよりも山地の顔が気になる。やっぱすごい笑顔……ほんと楽しそうで年相応の顔っていうか、子供っぽいっていうか。
「ダメ。俺がつける!」
おおい、少年よ、最初からそう言えよ!
欲しいわけじゃないけどわ人のものになるのは嫌だってやつか!うわー!
「じゃあ慎也のな。ちゃんと使えよ。」
この美少年、しんやって言うのか。
さっきの こうや だっけ?と兄弟ぽい名前だなあ…
山地とはどういう関係なんだろう。兄弟に見えないことも無い。すこしだけ雰囲気が似てる。
だけど山地はひとりっ子だ。
だから兄弟じゃない。
「そろそろ夜ごはんの時間だけど、慎也どうする?家で食べる?」
山地が顔を覗き込む。
よっぽど親しいのか距離がやはり近い。
「……………今日は兄さんいないから……」
しんや君は声のトーンを下げて答えた。
「じゃあ食べて帰ろうか。何がいい?」
山地は蕩けるような笑顔で微笑んで、しんや君の肩に手を回す。
「寿司。回らないやつ。」
「お前バカか!小学生だろ遠慮しろよ!」
「なんでもいいって言ったじゃん……」
「言ってない、よし、いつものにしよう。」
「へーい」
「不貞腐れるなよ、俺の奢りなんだから味わって食べろよな。」
冗談を言いながら歩き進める2人が入っていったのは、俺が入るのは気恥ずかしいようなオシャレな店だった。
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