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18.愛情
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…
『なあ凛人いい加減素直になれよ』
え……なに?
『お前俺の事好きなんだろ』
!!?ち、ちがう、何でそうなる!?そんなわけがないっ!!ありえない!
『好きでもない奴に触られて勃起してイクのかお前は……この変態め』
…っ!違う、僕はそんなんじゃ、絶対にそんなんじゃないのに、違うのに…!
か………
「…感じやすいから!!!」
僕は声を上げながら目を覚ました。…なんて爽快な朝。ははは。……いや全然笑えないっての。
僕何してんだよ〜〜…また昨日の夜あの男と変なことしちゃったじゃんよ…。だってあんまり抵抗すると怖いかなって思ったし、男のアレを入れられないならまあいっかなとも思ったし……。
あーーっっ!ダメだ!ダメに決まってるっ!僕は一体どう言う神経してるんだ!あの男がどれだけ最低で怖い奴か知ってるくせに…!2度も叩かれて何度も怖いこと言われたじゃないか!性的な行為に流されんなーっ!
……とにかく、次からは変なことしようとされても頑なに拒否だ。絶対だ。
「…さて、今日も洗濯物干して、洗い物して掃除機かけて、あとは」
少しだけスマホゲームでもするか…。
ー
お昼になり、リビングにある大きなテレビを見ながら僕はズルズルとラーメンを啜った。それにしても…あの男がいないということは多分今日は平日で、つまり世間の社会人はみんな働いて出ている、というわけだ。前まではこんなこと考える余裕もなくて考えていなかったが、…僕、バイトした方がいいんじゃないかな。
あの人が外に出るのはダメというから多分ダメなんだろうが…このままずっと家にいてゲームだけしていたら、僕は何も出来ないまま歳をとってしまう。それを想像すると少し怖かった。働くのは嫌だし、面倒だけどここで男の金でいつまでも暮らしていくのも嫌だ。そうだ、近い将来的にはここを出ていくんだし。無意識に自らあの男に頼ってしまっていた所があるんじゃないだろうか…。ダメだダメだ、そんなの。それは多分、男の思うつぼだと思うから…。
だから僕は、負けないぞ…!あの人には頼らない、自立する…!頑張って働いて貯金をためるんだ!よし、あの人が帰ってきたら働いていいか聞いてみよう。もしかしたら、いいって言ってくれる可能性もあるんじゃないかな、だって外で働いてお金を稼いでくるんだもの…!遊ぶわけじゃないんだし!だからきっと!
「は?ふざけんな。ダメに決まってるだろ、同じ話を何度もほじくり返すなくそガキ」
「……」
夜、帰宅した男に早速話してみたら、即この言われようだった。…なんて理不尽なんだろうか。
「で、でもっ、僕将来のこととかっ、不安だよ…!」
スタスタと歩く男の後を僕は走って追う。
「はあ?なんで?何が」
「…、だ、だから、何も分からないままこのまま歳とるのは嫌だ、あんただって僕が働いてくれた方がマシなんじゃないのっ?貯金だって一銭もないんだ…だからこれから働いて少しずつ将来の為に…」
「あ〜あなんだそういうことか。何でそんなことで悩んでんだよ」
……え。そんなこと、ではないんですけど…僕的に。
「僕真剣です、だから逃げないから働かせて」
「……アホか」
「え?」
「将来の心配?あーはっはっはっはっ、馬鹿だなーお前。」
…!?な、なんだよこいつ…っ、突然笑いだして…僕をバカにして!
「あ…あなたには分からないでしょうね!僕は1度死のうとしたんだ!その日から僕はゼロになってんだ!だけどあんたがあの日救ってくれたから、僕はまた生きよ……うと、」
は、ちがう。なんか違う、言葉……言い間違えた。まるでこの男が僕の命の恩人、それは事実だしそうなのかもしれないけど、…こんな、この男を持ち上げるような言い方、するつもりなかったのに。僕…どうして。僕この人に、たくさん酷いこともされて、嫌なことも言われたのに…。どうして…。
「……凛人」
「……っ」
「…凛人!」
僕、ほんの少し洗脳されてきてるんだ。毎日毎日この人とだけ居るから。この人とだけ、顔を合わせているから。この人とだけ、いつもいつも話しているから…。
「おいまて!はぁ、なんで逃げるんだよ!?」
透さんに腕を強く掴まれて僕はその痛みに顔を歪める。すぐ、この人はこういうことをする。力を入れる限度を知らないのだろうか。
「…はぁ、はぁ、」
「……」
「…僕はあなたに騙されない、絶対僕はあんたの思い通りにはさせないぞ…!」
必死で声を出す僕の体を突然男が抱き締める。
…!?一体なんの真似だ…!?
「は、離せ…!この…っ」
僕は男の腕の中でもがく。しかし男の腕はビクともしない。男は言った。
「…ああ、お前の好きなようにしろ。」
男の言葉に僕は男のシャツを掴んでいた手の力を緩めた。…え?
「どうとでも言え。俺を恨め」
「……え」
「お前は俺が貰ってやる。だから将来の心配なんかしなくていいんだ。俺がいるんだから」
な………何、言ってるんだ、この人は…。
本当に意味がわからない……。
「は、離して」
男は、僕の言うこととは逆に僕を抱き締める力を強くする。
「…お前の言うこと、なす事、…全てが愛しくて許せてしまう…畜生…お前を誰にも渡したくないよ、凛人」
「……何言って……」
瞳を揺らす僕の耳元で透さんは少々掠れた声で言った。
「……愛してるよ、凛人」
「…っ!」
甘い甘い透さんの囁きは、僕に衝撃と戸惑いを与えた。
そんなまさか……この人が僕を好き……?
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