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許せねぇにしおりをはさみました!
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許せねぇ
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体育館には、なんの音も響かない。
それぞれ青ざめたり、歪めたりした顔が並ぶだけで、誰も声を出せなくなっていた。
なるべくオブラートに包んで話したつもりだ。
けれど、やはり衝撃は大きかったようだ。
あぁ、音がない。
暗闇の中で、それはすごい不安になった。
でも、誰かが僕の手を握った。
大きくて、温かい手。
安心出来る手。
「か、がみ……くん?」
顔があるであろう方に顔を上げた。
すると、火神くんの声がした。
「許せねぇ。そんな奴がバスケしてるなんて、反吐が出る。俺がそいつに復讐する。だから黒子は安心して……」
「それはダメです」
火神くんの言葉を遮り、首を振る。
「彼には、なにかあるんです。だから、復讐なんて望みません。ただ……、傍にいてくれませんか? 僕はそれで十分ですから」
僕の言葉に、呆れた雰囲気が醸し出される。
そして、ふわりと空気が和らいだ。
「おまえ……欲無さ過ぎ」
「おまえは天使か!」
「まっすぐ過ぎっしょ」
「ま、黒子らしいっちゃ黒子らしいか」
みんなで笑いあえるこの状況が、凍りつつあった僕の心を溶かすように、温かく包み込んだ。
あぁ、本当に、僕は幸せ者ですね。
こんな素晴らしい仲間に出会えた。
白川くんには、いるでしょうか?
いま君は、どんな顔をしているのでしょうか。
幸せな顔を、しているといいなぁ。
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