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正義感にしおりをはさみました!
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正義感
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「いくらかけても繋がらないんです。もう飛行機乗っちゃったとか?機内モードにしてたら繋がりませんし」
あの後すぐに勤務先を聞こうと電話をかけたけど発信音すら鳴らない。
息子を置いて逃げた?そんなことある?
いくら会話ができないからってそんな…。
「仕方ない。今夜もう一度連絡して、繋がらなかったら3日間待ってみよう。それでもダメなら警察に届け出る」
桐生先生の冷静な判断により今は待つことになった。
でも、待てど暮らせど。
折り返しの電話がかかってくることも、こちらからの電話が繋がることもなかった。
息子置いてどっか逃げたの?嘘でしょ。
問題ばっかり増えて何一つ解決できやしない。
もう…疲れるよ、本当にさ。
「鉄メンタル先生!!」
だから…それ呼ばないでって…
「矢代くん………と、ケントくん…?」
「なんか疲れてる?いつもより10歳くらい老けてんぞ」
小走りで走ってきた矢代くんにいじられても反論する力はなかった。
それよりケントくんは山に行ってるって話じゃなかった?
「雄大!失礼だろ」
「本当のことじゃん」
「で、何の用?君の言う通り疲れてるから2秒で帰ってほしいんだけど」
愛想よく話す余裕もないよ。
性格の悪さがくっきり浮き出ちゃう。
「ほら!隼人のこと、ケントに話したんだよ。そしたら、今日は外泊オッケーな日だからって超特急で帰ってきてくれたの」
「あぁ…。そうなんだ。それはそれは」
本来『ありがとう』と激励しなければいけない場面なんだけど、まじで精神疲れ切ってるから。
「本当大丈夫?」
「んー、大丈夫大丈夫」
「隼人は?」
「お昼寝してんじゃないかなー。分かんないけど。それよりも魁くんどうにかしないと…はぁなんでお父さんどっか行っちゃうのまじでありえない」
「魁くん?誰それ」
あ…。しまった。心の中で言ったつもりが…。
「今どこまで声に出てた?」
「え?お父さんどっか行っちゃうのまじありえないって」
あー。もろ全部。
患者の情報流しちゃった。
「あはっ、忘れてー。今まじで余裕ないの。隼人くんね、面会の許可貰ってくるから待っててー」
毎日休みなく魁くんと隼人くんのメンタルケア。
それに加えて桐生先生のご機嫌取りと心臓外科の仕事が山積み。
いくらペラペラな俺でも疲れるって。
で、さらに魁くんパパが行方くらましたでしょー。
ありえない、まじでありえない。
俺だって1日くらい全部忘れて楽になりたいよ。
休みほしー。働きたくなーい。
「失礼します」
だるいだるい。帰りたい。寝たい。
ケントくんと隼人くんが会ったら村上先生のこと思い出して暴れるんじゃないの?やめてー。
これ以上問題増やさないでー。
俺とっくにキャパオーバー。
今日だけでいいから休ませてー。
「どうした、飯窪」
「あーーーーーーー。」
ケントくんと矢代くんが面会に来てます。
「あー?」
「え?」
「お前今、あーーーって」
「え?あれ」
頭働いてないよ、俺。
「すみません、ロビーに矢代…………」
「飯窪?」
あーーーーーー。無理。
休ませてーー。
「ちょっと、すみませ…」
あーーーーーーーーーーー。この体勢楽ーーー。
どんな格好かって?
院長室の柔らかい床に寝そべってるだけです。
「飯窪?!」
ちょーっとだけお昼寝させてくださいね、すぐ起きますんで。
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