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これは本当のことかも良く分かんないし、あんまりそう言うの信じたことないけど、箸が折れるって縁起が良くないらしい。
「だからね、甲斐くんは暫く気をつけた方が良いよ。」
「そうなんですか?」
山野さんが言うなら、なるべく気をつけよう。
でも、何に気をつけたらいいのかな。
「俺もあんまり気にするタチじゃないけど、手術前には成功するように、俺なりのジンクス守ってるしな。」
「ジンクスですか?」
例えば、野球選手がグラウンドに入るのに右足から入るとか、ボクサーが左手からサポーター巻き始めるとか。
「俺のジンクスは内緒な?」
そのジンクスは、内緒にするくらい彼の中で物凄く大切にしている事だって、鈍感なおれでも分かった。
まわりから見たら些細な事でも、ゲン担ぎってやっぱり重要なんだろうなって思う。
商売でも、ゲン担ぎってする。
予測不可能な事が起きる医療現場なら、きっと何かしら皆しているのかもしれない。
「はい。」
おれのゲンって何だろう?
「あ、お正月に神社にお参りするときは、15円入れてるかも!」
「ええ?!15円?」
じゅうぶんにご縁がありますように。
「へぇ、でも15円で神様願い事聞いてくれるかね?」
「どうでしょう?あと御守り買います。」
本当は、買うっていう表現は悪いのかもしれない。
でも、ちゃんとした表現は頭に浮かばなかった。
「じゃあ、来年は一緒に行こうか。」
「はい!ぜひ!」
お医者様に、多分お正月って無い。
小さな病院だとお盆やお正月はお休みにするところもあるけれど、山野さんが勤務する病院は救急も受け付けている。
入院患者様もいるし、単に外来の少ない普通の日なのかもしれない。
それでも。
「はい、指切った。」
約束してくれたのは、嬉しかった。
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