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そして、その日/寒凪⑵
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「ちょ、来たいなんて…珍しい事言うから何かと思ったら…っ。
言えよ、そしたらもっと…早く帰ってこれたのに。」
このままではいけないと、ジャケットのボタンをノロノロと外している時だった。
「…早く、綾木さんの……くださ、」
「っちょ!来碧さ…俺さっき汗かいて…!」
自身の体液で濡れそぼった指が、俺のベルトに手をかける。
匂いにあてられ、既にその主張を露わにしていた中心部に気づかれてしまったらしい。
それにしても、普段の冷静さはどこへ行ってしまったのやら。
前回目にした時とはえらい違いだ。
歯を器用に使ってファスナーを下ろす仕草は、俺の自制心をめちゃくちゃにするには十分すぎた。
どこでそんな高度なテクニックを身につけたんだよ。
「……綾木さんの部屋、汚して…っごめん。
でも俺もう…我慢できな、」
下着の上からスンスンと匂いを嗅ぐ来碧さんは、時折堪らないといった様子で熱い息を吐く。
その吐息すら快感として捉える自身は
ついさっきまで夜道を犬に追われた情けない男のものとは思えないほどに大きく膨らんでいた。
「…くっそ。来碧さん……飲んで?
一回出したい…っ。」
「ん…。」
下着をゆっくりと下ろされて、障害物の消えた途端ぶるっと反り上がる昂り。
来碧さんはぼうっとそれを見つめると、頬擦りしたまま舌を這わせる。
正直、上手いとはお世辞にも言えない。
飴玉のように美味そうに転がされても、わたがしを頬張るように優しく食まれても、物足りなさを感じずにはいられない。
だが、そんな直接的な刺激を欲しているんじゃない。
俺に問いかけてくる熱い視線、小さめの口では収まり切らず、喉奥に触れてえずく瞬間。
唇の端から垂れる唾液がどこまでも来碧さんの色気を掻き立てて。
「…口、離さないで…ねっ。」
「んん゛、ぅ…っ。」
反射的に後ろに引いた彼の後頭部を強く押さえ、ここ最近溜まりに溜まっていた欲望の塊を全て口内に放った。
「う…はぁ……あ、うわっごめん!苦しかったよね!」
冷静さを取り戻した頭は罪悪感に苛まれ、即座に押さえ込んでいた手を離す。
が、
「綾木さ、の…美味しい……っ、濃くて…すご…っ。」
更に強まった甘い匂いが部屋全体に広がって
俺で興奮しているのだとわかると…。
ああ、ダメだ。
また、勃った。
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