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変化 4にしおりをはさみました!
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変化 4
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突然暗闇の中に放り出された
体を動かそうとしても動けないし、息も出来なくて苦しい
目の前に暖かい光があって、手を伸ばしたいのに指1本も動かせなくてもどかしくなる
"ねぇ、生きたい?"
突然頭上から声が降ってくる
柔らかくて、落ち着いた女の人の声
僕は少し迷ってしまった
だけど、声は僕の沈黙を否定と受け取ってしまったみたいで
"死にたい・・・の?"
と問いかけてきた
『ち、ちがっ!』
僕は慌てて声をあげようとした
そこで喉を潰されたことを思い出す
実際には音は出ず、口をパクパクさせるだけだったけど、それでも女の人は分かってくれたみたいだった
"そう・・・。頑張るのよ。負けないで。応援、してるから"
ほほえんでいるのがわかるくらい優しい声が僕を応援してくれて、その瞬間目の前が真っ赤になった
鋭い痛みが喉を突き抜け、ミシミシと音をたて始める
(あぁ、再生だ・・・)
今までこんな音も痛みも再生には伴わなかったけど、直感でそう思った
鷹さんが再生の能力が薄れてきているって言っていたから多分そのせいだろう
『ぅ、ぁっ』
痛みに呻く度に少しずつ息ができるようになってきた
あの女の人はこの痛みに負けるな、って言ってたのかな・・・?
大丈夫。僕は負けないよ
ちゃんと復活して、助けにきてくれたであろう平良さんにお礼を言って、それから鷹さんに謝らなきゃ
中途半端でごめんなさいって
『ッはぁ、っ!はぁ、っは、はぁ、・・・』
完全に喉が回復したのか、痛みが一気に引いていく
それと同時に僕は目を覚ました
目の前に広がるのは綺麗な短髪と、多すぎるピアスの穴
それと、綺麗に伏せられたまつ毛
短く感じた僕が気を失っていた時間は長かったようで、辺りは真っ暗。多分、夜中だろう
平良さんはずっと僕の手を握っていてくれたみたいで、その状態のまま僕にもたれかかって眠っていた
静かに聞こえる寝息で、そういえば今まで平良さんが寝ているところ見たこと無かったな、なんて気づく
それに比べて自分は寝ているところばかり見られている気がする
ちょっと恥ずかしいな
少し触れてみたくなって、綺麗な黒髪に手を伸ばし、頭を撫でてみた
いつもありがとうって気持ちも込めて、そっと触れた
「んっ・・・」
ゆっくりと平良さんの目が開き、最初は宙をさ迷っていた瞳が僕を捕える
「み、さと・・・?」
まるで幽霊を見ているような顔をして驚くものだから僕はおかしくなって少し笑ってしまった
平良さんは空いている方の手で僕の頬を壊れ物を扱うみたいに撫でる
だから、僕はその手に自分の手を添えて、『ありがとうございます、助けて下さって』って微笑んでみせた
「当然だよ・・・。それより、もっと早く、助けるべきだった」
って悔しそうに唇を噛み締めてしまうから、僕は沢山首を振った
『そんなことない、十分、十分でした・・・っ、本当に、ありがとうございました』
急に泣きそうになって、声が震えてしまう
そんな僕を愛おしそうに見つめて、平良さんは言った
「ありがとう、生きてくれて。」
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