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81にしおりをはさみました!
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81
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大勢で一度に現われたからだろうか。到着するや否や、周辺に無数の穴がボコボコ空いた。
「来るぞ!」
一声叫んで飛び上がり、剣を抜いてビュンと振る。
討伐隊を囲むように飛び出して来た無数のワーム。全部ザコだけど、こんだけ一斉に襲いかかられるとさすがにヤベェ。
オレらに後れを取ることなく、討伐隊の剣士たちも剣を抜いて応戦してる。
びゅんと唸る剣、ぼてぼてと砂に落ちるワームの死骸。それを確認する間もなく、次々と穴が空き、次々と新手が襲い来る。
「ウィンドカッター!」
ミーハの声も聞こえて来て、さすがだなって嬉しくなった。
「ウィンドカッター! ウィンドカッター!」
ミーハの声を聞きながら、デザートワームの気配を察知し、次々と剣を振るう。
「キリがねーぞ!」
誰かの叫ぶ声に、確かにな、と心ん中で同意した時――ぶわっと何かの気配がして、とっさにミーハを背に庇った。
剣を構えて警戒する中、ボコッと巨大な穴が空く。
「警戒!」
誰かが叫び、直後、穴の中から巨大なワームが飛び出した。
口径およそ10m。デザートシャークを咥えてねーから、そこに生えた無数の牙が目に入る。
けど、さすが討伐隊だけに、パニックはなかった。
みんなが一斉に剣を振り、長い胴体に斬りかかる。オレも勿論、高く飛んで重力を使って一撃した。
軟い肉質に剣が埋まる。けど、それくらいじゃやっぱ致命傷になんねぇ。オレらの攻撃を受け流し、ボスワームが再び砂に潜る。
足元にイヤな気配はビンビンしてて、まだいるって、それだけは分かった。
みんなして息を詰め、剣を構えて気配を探る。ミーハも白い顔をこわばらせて、自分の杖をぎゅっと構えた。
「チビ、水だ!」
ルナの声が響き、ミーハが杖を振り上げる。
「ウォーターカラム!」
キリッとした声に応じ、砂漠に巨大な水柱が立つ。
ウォーターボールなんて目じゃねぇ規模で、こんな魔法も使えたんだなって、感慨深いけどちょっと苦い。
「ウォーターカラム! ウォーターカラム!」
ドウッ、って音と共に、後ろと横とに立つ水柱。その3本目がドウッと立った瞬間、再びボコッと砂上に穴が空き、ボスワームが飛び出して来た。
ぶわっと大量に舞い散る砂塵。
ギャアア、って大音量での鳴き声と共に、巨大なワームがドスンと落ちる。衝撃にあちこちで砂山が崩れ、半分埋まってた獲物の骨が剥き出しになった。
けど、そんなのを悠長に観察してる余裕はねぇ。衝撃を食らう前に飛び上がり、再び体重を乗せて、のたうつ胴体に鋭く剣を振り下ろす。
タオもルナも、そして他の剣士らも同様にモンスターを攻撃し、ギャアアって悲鳴を上げさせた。
「ウォーターカッター!」
「ウォーターランス!」
ミーハたち魔法使いの呪文も飛び、デザートワームボスが更にのたうつ。のたうちながら徐々に砂に埋まってくのを見て、誰かが「逃げるぞ!」って声を上げた。
「逃がすか!」
とっさにダッと砂上を走り、威嚇するように牙を剥く巨大な頭部に接近する。
直径10m、デザートシャークを真っ二つにする無数の牙。咬まれるどころか、かすっただけでも致命傷だって分かってっけど、そんな危険なんか承知の上だ。
ケガが怖くて賞金稼ぎなんかやってらんねぇ。
「はっ!」
気合と共に飛び上がり、空中で体をひねって牙を躱す。脳みそがどこにあんのか分かんなかったけど、適当に頭部を狙って剣を思いっ切り突き刺した。
軟い肉にずぶっと剣が埋まる感触。
視界の端で赤い閃光が走り、タオが無数の攻撃を加える。
オレの剣が埋まったままの巨大な頭部が持ち上がり、バランスを崩しかけて必死で剣を握り締めると――。
「うおりゃああーっ!」
気合の入った大声と共に、漆黒の一閃が、その頭部を斬り落とした。
剣を抜き、ボスワームの頭部から飛び降りて、ざっと状況を把握する。
多分、みんな同じだったんだろう。数秒間のタイムラグの後、一斉に「うおーっ!」と勝鬨があがった。
剣を振り上げ、勝利を喜ぶ。けど、それも長くは続かなかった。
再び恐ろしい気配がして、全員で息を呑み、その場から後退する。オレも再びミーハを庇える位置に立ち、剣を構えた。
「いる……!」
タオが緊迫した声で呟き、双剣を構えたまま、両目をぎょろぎょろ動かした。
勿論オレだって、言われなくてもボスの気配は察してる。
ウッディコングボスだって、2匹いた。デザートワームボスだって、2匹いるのに決まってる。だからこその大繁殖で、だからこその巣の殲滅だ。
「ミーハ」
背後に庇った小柄な魔法使いに視線を向けると、ミーハは大きくうなずいて、さっきと同様に杖を構えた。
「ウォーターカラム!」
呪文と共に、ドウッと水柱が立ち、乾いた空気を湿らせる。
砂漠のモンスターがこぞって嫌う水、その巨大な柱をミーハは次々と砂上に放って――やがてさっきと同様に、ボコッと巨大な穴が空いた。
「今だ!」
穴を指差して、ミーハに鋭く指示を飛ばす。
「ウォーターカラム!」
オレの指示に応じて、ミーハが放つ水柱。
巨大な穴のど真ん中にドウッと水柱が立ち、同時にギャアアアーッと恐ろしい悲鳴を上げながら、巨大なワームが飛び出した。
誰の合図も待つことなく、オレら剣士が一斉に飛び付き、のたうつ巨体に剣を刺す。
「ウォーターランス!」
「ウォーターカッター!」
追い打ちをかけるように、魔法使いたちの呪文が飛ぶ。
2匹目の討伐は、さっきより早かった。
両手に2本の剣を構え、タオが空中から体重をかけて深く刺す。ルナが大剣を振り上げ、その頭部をぶった切ったのは、ホント一瞬のことだった。
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