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「応援してた地下アイドルが売れて、音楽番組のみならずバラエティにまで出るようになったファンの気持ちってこんな感じなんですかね」
次の木曜日、七瀬さんになんとなく溢す。
「なんか、うまく言えないけど、嬉しいけど嬉しくないみたいな」
「矛盾してるね」
「そうですよね」
「自分が見つけて自分にだけ懐いてた捨て猫が、みんなに見せたらすんなり懐いた。みたいな?」
「うーん、ちょっと違うかも。自分にだけ懐いてると思ってたのに、他の人にも懐いてた?」
「それは嬉しいけど複雑だね」
「すみません、こんな話されても気持ち悪いですね」
思わず苦笑する。
「そんなことないよ、それだけその作家が好きってことでしょ」
「まあ、それはそうですけど…」
ドアベルが鳴り、来客を知らせる。なんとなくそちらに目を遣ると目が合った。なんか、デジャヴ。なぜか会釈をされたので返すと、不思議に思った七瀬さんが振り返った。
「あー!先生!と、もしかして、ソウくん?」
「え、あ、はい。え?」
入ってきた女性と七瀬さんを交互に見る。
「ちょっと先生!紹介してくださいよ!!」
「はいはい。えー、こちら真宮さん。こちら、颯くん」
「ちょっと適当過ぎですよー!!はじめまして、先生の担当編集の真宮小春です!」
「あ、向井です」
「颯くん僕と初めてあった時みたいになってるよ」
それは仕方ない、七瀬さんといるとなぜかそんなことはないけど、根は陰キャなのだ。人見知りくらいさせてくれ。
「えー!なんかたろきちみたい!!かわいいー!!」
真宮さんが俺の頭に手を伸ばしてきたけど七瀬さんに阻止されてた。
「颯くん人見知りだからやめてあげて」
「そっか、ごめんね!」
「あ、いえ」
「で、用は?」
「そうでした!これ、お届け物です!」
「後で行くって言ったのに」
「他の用事でこの辺に来たんですけど、先生が言ってた喫茶店ってこの辺だったなと思って!あたりでしたね!急ぎの物だけでも持って来ててよかったです!」
「ああ、そういうこと。あーあ、秘密基地バレちゃった」
「隠してなかったですよね!?先生宛のお手紙とか贈り物は、さっき郵便に出しときました!」
「わかりました~、ありがとう」
なんか仕事の話なようでそうじゃないみたいな。ってか、
「あの、」
「ん?」
「先生…?」
「あ、」
「あと、担当編集って?」
「……」
「って先生!え、嘘、言ってないんですか!?」
「いや、だって、言うタイミング?がなくて?」
何をだ。なんか重大なことを言われる気がする。実は何なんだ。
七瀬さんが視線で真宮さんに助けを求めているのが分かる。
「私からは言いませんよ!!!用は済みましたので、これで失礼します~」
「あ、ちょっと!」
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