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233 side葵にしおりをはさみました!
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233 side葵
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side葵
いくら楽しみにしてくれていたからと言って、それが全てでない事は分かっていた
真慕はまだ外出が苦手だ
外に出た日の夜は魘されることが多い
知らない人と話すのもまだまだ苦手。
一定の距離を詰められるのも怯える
そんな真慕が今回のことを楽しみと言ってくれたのは嬉しかったし、楽しい思い出を増やせれば、それが少しでも精神的に人との関わりを持つきっかけになればとも思っていた
でもやっぱり負荷はかかるよね
いくら楽しみにしてくれていたって、美味しいと笑ってくれたって、そういう事は忘れちゃいけないと思っていたのに。
部屋でいつもの様に真慕の隣に腰かけると、唇をきゅっと結んで俯いてしまった
思わず抱き上げて肩に顔を埋めさせる
次第にひくひくと泣く小さな声が聞こえてきた
どうしちゃったんだろう
さっきまで嬉しそうに部屋を見てニコニコしていたのに。
なにか見落としていただろうか
怖い思いはして欲しくなくて、アンテナは張ってきたつもりだった
「真慕」
意味もなく最愛の人の名前を呼んでは頭を撫でる
真慕は基本的に静かで大人しい。
たまにこうして思い詰めて泣いてしまう時も、それを隠すように声は出さずに泣いてただ苦しそうな呼吸が聞こえる
「真慕、大丈夫だよ」
俺がいるよ。
大丈夫だよ
大丈夫だから。
真慕の抑え込むような泣き方はこちらまで辛くなってしまう
少しでも安心できるようにと抱きしめる腕にそっと力を込めた
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