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嘘と本音にしおりをはさみました!
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嘘と本音
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「え、」
「あ...っ、いや」
しまった。
そう思ったときには時すでに遅し。
「なにお前、片思い中か」
俺を射抜くように向けられた瞳は楽しそうな色を含んでいた。
「う、嘘!今のはなし!いねぇし、片思いなんかしてない」
両手と首を激しく左右に揺さぶる。が、
「...ふーん、目泳いでるけど」
「...っ、お、泳いでない」
宇井原の一言で、俺はビクリと動きを止めた。
「別に隠さなくてもいいと思うけど」
「別に隠してないし、ほんとにいない」
「...ふーん。で、誰が好きなの」
「だからいねぇんだって!!」
「分かった分かった。で、俺の知ってる人?」
「う、宇井原!!」
どんなに否定しても宇井原はそれを信じる気がないのか、質問を重ねてくる。
このままじゃ俺がもたない。
制するために張り上げた声で、宇井原はやっとその口を閉じた。
「そんなに知られたくねぇの?」
「だから、いないんだって」
「神崎ってさ、嘘つくの下手だよな」
「う、嘘じゃねぇの」
「まぁ、いいけどさ」
あっさり興味をなくしたのか、宇井原は再びその視線を綺麗にならんだアクセサリーに向ける。
(怒ったのか..?)
好きな人のことくらいでムキになったから。
面倒くさいと思われた?
でも、あれ以上何かを聞かれたら絶対に変なこと口走った。
宇井原を怒らせて嫌われるのも嫌だ。
でも、この気持ちを知られて嫌われるのも、俺は嫌なんだ。
馬鹿な自分に苛立ちながら、俺はぐっと唇を噛み締めた。
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