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言い訳にしおりをはさみました!
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言い訳
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「あの時のことだったらもういいよ」
口からでた言葉は俺の気持ちと逆方向だった。
「それより、久しぶりに話そうぜ」
そう言いヒデを汚い黄色のベンチに手招きをする。ヒデはその言葉と同時に俺の横に座った。
「…あの時の言い訳を聞いてくれないか?」
ヒデの問いかけにイエスともノーとも言わず俺はまたコーヒーを一口飲む。
「俺、あの時本当に直のことが好きだったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、心のなかで相手と自身を笑った。
それのどこが言い訳なのか分からない。そんなこと今さらすぎる…。
俺の気持ちを察したのかしないのかは知らないがヒデは下を向いた。
「…告白された時も凄く嬉しかったし、あの時のキスも同じくらい…。でもその時にはもう親父の転勤が決まってたんだ。後ろ髪を引かれるのが嫌で、あの時あんなことを…」
そう言い一息ついてからヒデは俺の方に視線を合わせてきた。
「今日会って分かったんだ。俺まだ直のことが好きみたい」
その言葉を頭中で何度も流した。ヒデの顔は真剣で俺は目をそらすことが出来なかった。何かの鎖で繋がれたような息苦しささえも感じられた。俺はそれらを全て外に出すため深い息を吐き、そして口を開く。
「俺あの後相当グレて、男女とわずでヤりまくったんだ。全て遊びだったから楽だったぜ」
息苦しさの中やっと言えたのは思ってもない言葉だった。
嘘は言ってないが、今さら言ってもしょうがないことだ。
すると右肩に何かが乗っかる。
「あはは、俺も同じだよ」
重たいものがヒデの頭だというにそう時間はかからなかった。
その重たさが心地いいと感じてしまう。
そっか、
俺もまだ、ヒデのことが好きなのかもしれない…。
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