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18*日崎の回想にしおりをはさみました!
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18*日崎の回想
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おずおずと兄ちゃんの部屋に足を踏み入れると、兄ちゃんはそっと人差し指で涙を拭い、自分の座るベッドの横をぽんぽんと叩いた。
そうやってオレを迎えてくれる兄ちゃんは、いつものオレの大好きな兄ちゃんのはずなのに、今日は全くの別人のように見えた。
兄ちゃんの顔を覗き込むと、もう頬に涙は伝ってないけど、目はまだ潤んでいた。
そして兄ちゃんの手にあるのは友達の湊くんと写ってる写真が表示されたスマホだった。
スタバの新作を手に2人でピースしている。
湊くんは兄ちゃんと小学校の頃から仲が良くて、オレもよく遊んでもらった。
「喧嘩でもしたの?」
服装からして今日撮ったと思われるその写真は、とてもなか良さそうに見えるけど──
「柊に聞いてほしいことがある。うまく話せるかわからないし、柊もどうしたら良いかわからないと思う。
だけど、これは柊にしか言えないんだ。だから、最後まで──聞いてほしい」
声が震えて、ときどき掠れている。気を抜いたらすぐに涙がこぼれてしまう──そんな声色だった。
もしくは、何かしらの恐怖に怯えているのかもしれない。
「──っ、うん」
震えながらオレの手を包んだ手の冷たさに驚き、オレの背筋が伸びる。
「湊に彼女ができたらしい」
──え?
深刻な空気に似合わぬおめでたい話題に戸惑う。
でも、口を挟む気にはならなかったから、黙って兄ちゃんの話を最後まで聞くことにした。兄ちゃんの冷たい細い手を握りながら。
兄ちゃんは"オレに聞いてほしいこと"を止まりながらも、オレに打ち明けてくれた。
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