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18歳以上ですか?
21にしおりをはさみました!
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今、俺、キス、されてる──?
寝起きで少しがさついた俺の唇に、柔らかくて今まで体験したことのない感触が弾む。
目は北田の端正な顔だけを映し、今まで感じたこともないほど濃い日崎のにおいに一瞬のことだけどくらくらする。
さっきまで枕にしていた俺に右手は、日崎の左手に掴まれている。
そこから日崎の体温が、脈が伝わる。日崎も俺と同じくらいあつくて、すごいスピードで脈打っていた。
触れあっていたのはほんの一瞬のはずなのに、体感では30秒ぐらい続いていた気がした。
俺今すごい間抜けな顔してるんだろうな。
俺から顔を離した北田は、上気した顔で俺の顔をじっと見つめていた。
その瞳にこもった熱に釘付けになり、心臓の位置がはっきりわかるくらいにどくどくと鳴りだした。
そして同時にぎゅっと心臓が締め付けられるような感覚もある。
こんな感覚を覚えたのは16年生きてきて初めてだし、キスするのも初めて。
日崎の顔を見上げると、日崎はさっと俺から目をそらした。その耳は真っ赤に染まっていた。
その赤さは気温のせい?それとも──
絶対あり得ない思考に行き着きそうだったところに、また日崎の顔が近付いてきた。
またキスされる──!?
逃げることも、抵抗することも今度はできたはずなのに、俺がしたのはぎゅっと目をつぶって身構えることだけ。
これじゃ待ってるみたいじゃん──。
その期待──いや、期待なんかじゃないはずなんだけど──は裏切られ、唇は耳の近くに寄せられた。
「ごめん、昼休み事情話す」
掠れて、上ずった声で囁いた。
そして、元の場所に戻っていった。
……謝んないでよ。
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