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18歳以上ですか?
32にしおりをはさみました!
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一回熱が上がってしまえば風邪はあっさり治ってしまって、すぐに学校に行けるようになった。
昨日の残りのペットボトルの水は、自分で飲んだらもちろん常温だったけど、日崎も口をつけたのかと思うと甘く感じてくるから不思議だ。
スマホで天気を調べていると、日崎から≪今日は来れそう?≫というラインが来た。
≪うん、熱も戻った≫と返すと、微妙にかわいくない犬が喜んでいるスタンプが返ってきた。
日崎曰くキモカワらしい。
スマホを鞄のポケットに突っ込み、なかなか入らない靴に苛立ちながら家を出た。
ちなみに天気は晴れだった。
「おはよ」
「おはよう、風邪うつらなくてよかった」
俺に手を振る日崎は健康そのもので安心した。
いや、でもあれでうつっても俺悪くなくない…?
こっちがあんなに心乱されて困惑してたのに、日崎は何食わぬ顔で笑いかけてくるし一瞬、風邪うつればよかったのにと思った。
≪そういや誕生日いつなの?≫
授業中に回ってきたメモは、初めて俺の返答を必要とするものだった。
前の日崎からのメモ曰くこの教師はあまりこっちを見ていないらしい。
じゃあちょっとくらい俺も──いいよな?
≪4月12日 日崎は?≫
と、さっきのメモの裏に走り書きして、先生が板書し始めた時を見計らって身を乗り出した。
「相田さん」
肩をとんとんと叩いて小声で声をかけると、俺から来るとは思っていなかったらしく、相田さんは肩をビクッと震わせた。
ごめんね、と小声で添えると彼女はもっと驚いたように俺の顔をまじまじと見て、はにかんだように微笑んだ。
──かわいい。
口元はにやけそうになったけど、心臓は苦しくならなかった。
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